災害時のデマを「だいふく」で見極める 授業で情報防災訓練

SNSやスマートフォンによる、災害時のフェイクニュースやデマの拡散リスクを考える「情報防災訓練」の授業が3月9日、さいたま市の浦和ルーテル学院小中高等学校(福島宏政校長、児童生徒758人)で行われた。情報教育が専門の塩田真吾静岡大学准教授が講師役となり、LINEみらい財団と共同開発した教材を使って、情報の信頼性を見極める「だいふく」の観点を中学2年生にアドバイスした。

カードに書かれたSNSの情報を読みながら、信頼度を考える生徒

近年の大規模災害やコロナ禍では、デマやフェイクニュースが拡散され、混乱が起きて社会問題となることも珍しくない。昨年に総務省が実施した新型コロナウイルスに関する情報流通調査では、SNSをよく使っている若い世代ほど、こうした情報に触れる機会が多く、共有や拡散した経験が高かったり、信じてしまったりした割合が高い傾向となっている。

こうした問題意識から、東日本大震災から10年を契機に、塩田准教授らは新たな防災訓練の視点として、デマやフェイクニュースを見極め、適切に情報発信することで、若い世代が防災に貢献する力を身に付ける「情報防災訓練」を提唱。3月4日に同財団のホームページで教材を無償公開した。

この日、開発された教材を使って、中学2年生に相当する8年生の生徒に行われた授業では、オンラインでつながった塩田准教授が、データを示しながら若い世代ほどSNSで情報を入手していることと、SNSの情報は現地から即時に発信されるため、特に災害時の情報伝達としては非常に有効であることを説明。その上で「全ての情報が信頼できるわけではない」と指摘し、「住んでいる町に巨大な台風が接近していて、スマホで情報を集めている」という設定で、グループワークに取り組んだ。

「今回の台風で、スーパーの食品が売り切れていた」など、さまざまなSNSの投稿が書かれた8枚のカードのうち、投稿された時間ごとに1枚のカードを生徒らがランダムに引き、そのカードに書かれた情報を読み取って、拡散すべきかどうかを判断したり、全てのカードを確認し、信頼性が高い順に並び替えていったりした。生徒らは、それぞれのカードに書かれた情報について、どう判断したかやなぜその順番にしたかを話し合った。カードによっては、その場にいた生徒で信頼性の度合いが分かれるものもあった。

塩田准教授は「デマやフェイクニュースは悪意のある人が流すと考えがちだが、災害時には悪意がなくても、SNSで何度も目にすることで善意や使命感で拡散してしまうこともある」と注意を促し、情報は▽だ=誰が言っているか?▽い=いつ言ったのか?▽ふく=複数の情報を確かめたか?――の3つの観点で確かめることが大切だと解説した。

グループワークで活発に議論する生徒ら

授業を受けた生徒らは「自分と他の人で判断が違うことに気が付いた。拡散された情報だからといって信じてしまうのではなく、発信する前にその情報が正しいか、間違っていないか、よく考えてから投稿したい」「実際にインターネットで調べてみると、間違っている情報が紛れ込んでいることに気付くことがある。他人の情報に左右されるのではなく、自分で判断できることが大切だと思った」と感想を話していた。

授業が行われたクラスの担任をしている田村海渡(かいと)教諭は「情報の受け手であっても、安易に拡散してしまうことで加害者側になってしまうというのは新しい視点だ。災害時にまずSNSを確認することも多くなっている。東日本大震災から10年を迎え、正しい情報をキャッチするのも防災だということが、一層重要な視点になる」と語った。

塩田准教授は「地域や学校の防災でも、SNSの活用が今後大切になってくる。従来の防災訓練に加え、情報の防災訓練が必要だ。若い世代が得意なSNSを活用して防災に貢献する存在になっていければ」と、教材の狙いを説明。今後は、GIGAスクール構想を受けて、タブレット上でも活用できるようにしたり、発信編などのさまざまなパターンを制作したりしたいと意気込んだ。

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