知的障害のある球児を甲子園へ 特別支援学校教員が夢に挑む

知的障害の特別支援学校に硬式野球部をつくり、「甲子園」の予選に出る――。そんな夢を現実にしようと、特別支援学校の教員と社会人野球経験者が立ち上がった。東京都立中野特別支援学校の久保田浩司教諭はこのほど、都内で記者会見を開き、特別支援学校高等部に通う知的障害のある生徒が硬式野球をプレーするのを支援する「甲子園 夢 プロジェクト」をスタートすると発表した。

プロジェクトの発足を発表する久保田教諭(中央)

長年、知的障害のある生徒に野球やソフトボールを指導してきた久保田教諭は「残りの教員生活を賭けて、特別支援学校が甲子園の予選に出ることを普通なことにしていきたい」と意気込む。

特別支援学校にもバスケットボールやサッカーなどの部はあり、スポーツを楽しむことができるが、硬式野球部は全国的にもほとんどないという。

そこで、久保田教諭は野球をやりたいと思っている生徒を募集し、実際に練習する場を提供。指導には久保田教諭が監督を務めていた社会人硬式野球クラブチームYBC柏の選手をはじめ、千葉ロッテマリーンズで投手として活躍した荻野忠寛さんらがボランティアで参加する。

将来的には、集まった生徒の通う特別支援学校に硬式野球部を作ることを支援し、全国高校野球選手権をはじめとする、甲子園に続く地区予選への出場を目指す。実際に鹿児島県では、県立鹿児島高等特別支援学校が、他校との連合チームを組んで県予選に出場するなど、現行制度でも硬式野球部をつくることができれば、予選出場は不可能ではないという。

久保田教諭は「生徒の『野球をやりたい』という気持ちを学校も受け止めてほしい。残りの教員生活で、なんとしても夢を実現したい。10年後には、甲子園の予選に特別支援学校が出場していることが普通のことになっていてほしい」と話す。

もともと野球部の指導者として甲子園出場を夢に教員になった久保田教諭の初任校は、当時の養護学校だった。学校の「野球クラブ」で投げ方も知らない生徒らに、ボールの握り方や足のステップなどを丁寧に教えると、みるみるうちに真っすぐボールを投げられるようになり、喜びを全身で表現する姿を見て、一念発起。都の特別支援学校ソフトボール大会では通算14回の優勝に導いた。一般のチームと試合する機会も次第に増え、初めて勝利したときには、部員も保護者も「やればできる」という自信につながったという。

「生徒らは障害があることで、これまで挑戦の機会を与えられてこなかった。ルールやプレーを習得するのに時間はかかるが、指導法を工夫すればできるようになる。スキルでもメンタルでも自信を持たせてあげたい」と熱っぽく語る。

3月27日には、4月から高等部1~3年生になる生徒を対象に初めての練習会を予定しており、遠方の場合はオンラインによる指導なども検討するという。

練習会への参加希望などの問い合わせは久保田教諭(090-4661-6022)まで。

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