「35人学級」法案の審議始まる 効果検証「トータルで」

小学校の学級編制標準を現行の40人(1年生は35人)から35人に引き下げることを目指す、義務標準法改正案に関する審議が3月12日、衆院文科委で本格的に始まった。とりわけ附則に盛り込まれた少人数学級の「効果検証」について、萩生田光一文科相は学力テストなどで測定される学力だけでなく、さまざまな教育活動や学校運営も含め「トータルでの効果を見守っていただくことが必要」と強調した。文科省側は合わせて、35人学級の段階的な実現にあたって2025年度末まで設ける移行措置や、加配の維持について考え方も示した。

「成績だけで評価するのは、学校現場を知らない人」
答弁する萩生田文科相

12日の衆院文科委では、自民党の馳浩議員(元文科相)が「全国学力・学習状況調査での経年・地域別の膨大なデータを分析すれば、(少人数学級の)効果がどの程度上がっているのか、分かるはずではないか。35人学級になってからの評価と合わせて、教育内容の充実に活用していくべきでは」と質問した。

これに対し萩生田文科相は、全国学力・学習状況調査の活用に理解を示しつつも、「今回(学級編制標準を)40人を35人に引き下げるときに一部、エビデンスを声高に主張する方がいた。私は、小学校の教育現場で平均点が上がることがエビデンスなのか、みんなの理解度や習熟度が上がることがエビデンスなのか、それだけではないのではないかと一生懸命申し上げてきた」と答弁。

また「例えば不登校が減っていくことがあれば、これも大きな(効果の)エビデンスだと思うし、何らかの事情で教育現場を休んでいる教員の皆さんが35人学級になったことで、改めて自信を取り戻して現場に帰ってくるということがあれば、これも大きな(効果の)エビデンスだと思う」と答えた。

続けて「もっと言えば、今まで遠足に行くのに1台のバスで行けなかったクラスが、バス1台でみんな移動できるようになり、クラスの仲が非常に良くなった、これも私は小学校における(効果の)エビデンスだと思う。給食を配るにも35人ならば、40人と比べて(時間を)おのずと短縮できるわけで、温かいものを温かいまま『いただきます』ができるのも、小学校の大きな(効果の)エビデンスだ」と、少人数学級の成果のイメージを説明した。

また浮島智子議員(公明)に対しても、萩生田文科相は「授業時間内の質問の回数は、当然、児童が減ればチャンスが増える。今まで1回も当てられることがなかった子供が、一度手を挙げることや、二度指名されることができる。成績だけで外形的な評価をして効果の議論に与するのは、きわめて学校現場を知らない人たちの意見。トータルで子供たちのためになっているか、子供たちの笑顔が増えているかも含めて、大きな視点から評価をしていただくことが大事だ」と強調した。

今回の小学校での効果検証が、中学校など今後のさらなる少人数学級を推進する上での前提となることを踏まえ、「トータルでの35人学級、少人数学級の効果についても、皆さんがしっかり見守っていただくことが必要。これがまた、次に続くのではないか。テストの結果だけに注目することがないようにお願いしたい」と要望した。

経過措置の「特別な事情」は「教室不足」を想定

今回の35人学級を実現するにあたっては、加配定数の一部を基礎定数に切り替えることから、それとは別に必要な加配が確保できるかを懸念した馳議員からは「知事会などの地方自治体や総務省を巻き込んで、文科省として主体的に加配定数を守り、個別最適な学びと協働的な学びを実現するべきでは」との質問が出された。

萩生田文科相は、必要な加配を確保するため「現場を抱えている地方自治体の皆さんとしっかりテーブルを囲んで、お互いにきちんとした共有の意思確認をしていくことが必要。協議の場を設け、計画的な定数改善を進める上で課題となる教職員定数の適正な管理や、質の高い教員を確保するための取り組みのほか、人材活用の効果や少人数学級の効果検証などについて確認を行い、必要に応じて対策を検討する」と答弁した。

また改正法案の附則では、経過措置として「特別な事情がある小学校」は一時的に40人学級とすることが可能とされている。文科省の瀧本寛初中局長はこの「特別な事情」について、「普通教室の教室数を超え、その超える部分を補うための適切な施設の確保が困難である場合や、施設の確保が対応できない困難である場合」と説明した。

「あくまで経過措置としてやむを得ない場合に例外的に認めるというもので、所要の施設整備を計画的に進めるなどして、最終年5年目の2025年度の当初の段階では、全国、全学年の公立小学校で35人学級を実現していただきたい。その経過において必要な人件費については国庫負担の対象となるし、必要な学級数の増加に伴う施設増についても、施設費整備の負担金などで対応させていただく」と説明した。

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