ヤングケアラーPTが初会合 5月までに具体的支援策

学校に通いながら家族の介護などを担っている「ヤングケアラー」の支援に向けて、厚労省と文科省の連携プロジェクトチーム(PT)が3月17日に立ち上がり、厚労省で初会合を開いた。山本博司厚労副大臣と丹羽秀樹文科副大臣が共同議長を務め、子供への実態調査なども踏まえ、5月をめどに報告書を取りまとめる。初会合では、ヤングケアラーの実態に詳しい澁谷智子成蹊大学教授と田中悠美子日本ケアラー連盟理事にヒアリングを行った。

支援策を急ぐとの方針を示す山本厚労副大臣(左)

PTの発足にあたり、あいさつした山本副大臣は「ヤングケアラーは年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担があることで、本人の育ちや教育に影響があるといった課題があるが、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であったとしても表面化しにくい構造となっている」と述べ、ヤングケアラーの支援が喫緊の課題であるとの認識を示した。

一方で、ヤングケアラー自体が問題なのではなく、必要な支援が届かず過度な負担となっていることが問題だと指摘。「今後、ヤングケアラーの課題について周知啓発を行っていく際には、ネガティブな面のみに偏らないようにする配慮が必要だとも考えている」と話した。

続いてあいさつした丹羽副大臣は「ヤングケアラーの適切な支援につなげるためには、スクールソーシャルワーカーを含む学校の教職員や、教育委員会の役割が重要であると考えている」と述べ、学校での把握の重要性を強調した。

続いて行われたヒアリングで、澁谷教授は、日本では家庭のことは家族で助け合う価値観や、家庭よりも仕事を優先する風潮が強く、家族構成の変化や共働き世帯の増加などによって、子供がケアの役割を担わざるを得ない状況が生じやすい環境にあると指摘。「ケアを度外視してきた社会の働き方が結果的に、子供や若者からエネルギーや時間を奪っているのではないか」と問題提起した。

また、ヤングケアラーの支援が進んでいる英国と、埼玉県が県内の高校生に行ったヤングケアラーの実態調査の分析を基に、日本のヤングケアラーは、1日1時間未満のケアであっても孤独やストレスを感じており、ケアの時間が増えるほど睡眠や勉強の時間を削っている状況にあることを示し、学校では家庭の状況まで把握しにくく、積極的なアウトリーチの重要性を訴えた。

実際のヤングケアラーの事例を紹介した田中理事は、ヤングケアラーの「子どもの権利」を擁護し、ケアの作業や負担を減らすための施策として①認定・アセスメントを行い支援する②学びの機会とその結果を改善する③支援ニーズに対応するサービスの開発と、それへのアクセスを保障する④自立して社会生活を送れるよう支援する――の4つの柱を提言。

学校をヤングケアラーの発見の場と位置付け、自治体が窓口を設けて、関係機関と連携した支援を行うことや、ヤングケアラーを担当する教員の配置、全ての学校へのスクールソーシャルワーカーの常勤配置などを求めた。

田中理事は「子供たちの声、言葉にならない思いを受け止めることが重要だ。子供の時間、家族の時間を大切にし、子供の人生を支援してほしい」と訴えた。

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