大学入試のオンライン面接に慎重意見相次ぐ 検討会議

新学習指導要領に基づく初の大学入試となる2024年度の大学入学者選抜を巡り、その概要が予告される今年夏に向けて入試改革の議論を進めている、文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は3月18日、第23回会合を開き、「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜」をテーマに論点整理を行った。今年1月に初めて行われた大学入学共通テストの実施状況を踏まえた大学入学者選抜の見直しや、総合型選抜(旧AO入試)、学校推薦型選抜(旧推薦入試)の在り方などの論点について、委員らが意見を交換した。オンライン面接の活用など大学入学者選抜のデジタル化については、CBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)の利点が指摘される一方、通信環境や立地への配慮を求める意見や、面接における公平性の確保を理由に、慎重な見方を示す委員も多かった。

オンラインで開催された大学入試のあり方に関する検討会議

検討会議では冒頭、萩生田光一文科相が議論のテーマとなる「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜」について、「特にオンライン面接については、コロナの影響で大学が選抜方法を変更するような場合に、少しでも丁寧な選抜を行うための有効な手段でありえる。このことも含め、大学入学者選抜のデジタル化の在り方について、議論を深めてほしい」とあいさつ。

続いて、座長代理の川嶋太津夫・大阪大学高等教育・入試研究開発センター長が、これまでの議論を整理したメモを説明。▽2024年度実施の入学者選抜について▽秋季入学等の入学時期・修学年限の多様化に対応した入学者選抜のあり方▽総合型・学校推薦型選抜の推進▽大学入学者選抜におけるデジタル化の推進▽大学入学者選抜の実施・検討体制――の5つの論点から議論を進めた。

秋季入学については、両角亜希子・東京大学大学院教育学研究科准教授が「多様な人員を受け入れるには、入学時期や選抜方法は多様化した方がいい。しかし、その工夫は各大学が行うべきであって、先に制度を議論するのは順序が逆ではないか」と指摘。この他にも「秋季入学のために別途、大学入学共通テストを行うのは困難」「実際に秋季入学を行っている大学の例を見ると、選抜時期が春入学と重なっており、多様な人材の確保にはつながっていないのではないか」と否定的な意見が相次いだ。

総合型・学校推薦型選抜の推進では、島田康行・筑波大学人文社会系教授が「総合型選抜は、高校の探究学習と相性がいい分野では、非常にうまくいく」として、生物、科学、物理、歴史、民俗学などの分野を例示。一方、「経営学や心理学は、高校で専門的な学びがあまりないので、総合型選抜で選ぶのは難しい。また、医学、歯学、薬学など国家資格がある分野では、大学入学者を選抜する段階で、学力をきちんと担保したいので、これも該当する学部は総合型選抜を使いたがらない」と指摘。大学の学部や学科の専門分野によって、総合型選抜を活用しやすい分野とそうではない分野があると説明した。

大学入学者選抜におけるデジタル化の推進では、まず出願の電子化について議論した。萩原聡・全国高等学校長協会会長(東京都立西高校長)が「通信環境に不具合が生じ試験が継続できない場合や、立地によってオンライン入試の実施に十分な回線が確保されていない地域への配慮が必要なのは、大学だけではなく、高校も同じ」と、インターネット環境などへの配慮が重要だと強調。

小林弘祐・日本私立大学協会常務理事(北里研究所理事長)は「最初のエントリーはウェブ経由で行われた場合でも、実際には紙でいろいろな書類を受験生から送付してもらい、出願を受け付けている大学が多い」と述べ、大学側の準備も進んでいない状況を説明した。

コロナ禍の大学入試で注目されたオンライン面接については、渡部良典・上智大学言語科学研究科教授が大学当局者として、導入を検討した時の議論を紹介。「公平性の確保が問題になった。オンラインで面接すると、自宅で受ける人は何かを見ながら面接することも可能かもしれない。一方、大学に来て面接する人は緊張感を持つ。コロナ禍のような事態が起きたときの有用性は否定しないが、オンライン面接を大学入学者選抜に使うときには、注意深い設計が必要になる」と指摘。事例の検証を求める声や、対面による面接の意義を指摘する意見も出され、総じて大学入学者選抜でのオンライン面接の活用には慎重な見解が大勢を占めた。

CBT化の推進については、論点整理メモで「マルチメディアを利用した多様な方法での出題、採点や試験実施の効率化、成績提供の迅速化、試験の複数回実施など、さまざまな可能性を有する」と記載され、こうした利点を否定する意見は出なかった。

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