高校生の学びの基礎診断 54%が「指導力向上」に活用

2019年度からスタートした「高校生のための学びの基礎診断」の普及促進を図る文科省の有識者会議(第4回目)が3月19日、オンラインで開かれ、文科省が測定ツールを活用している高校65校を対象に行った実態調査の結果が公表された。この中で測定ツールの活用で重視する理由について、学力の相対評価の確認に次いで、「教員の指導力向上」を挙げた学校が54%に上った。文科省は学校教育のPDCAサイクルに積極的に活用している状況がうかがえると評価。各委員からは「各学校間でツール活用の知恵を出し合うプラットフォームを作ってはどうか」などの意見が出された。

オンラインで開かれた「高校生のための学びの基礎診断」有識者会議

「高校生のための学び基礎診断」では、国語・英語・数学の各教科など25種類の測定ツールが認定され、全国の約60%の高校で活用されているとみられている。文科省はこのツールを活用して授業改善などに取り組んでいる全国の65校を抽出して実態調査を行い、調査結果をまとめた。

このうち「測定ツールを選んだ理由」について尋ねたところ、「ツールのサービス内容」が32.5%と最も多く、学校現場が測定結果の提供内容からツールを選んでいることが分かった。「学力に関すること」も29.6%に上り、生徒の知識や技能の習得状況などの測定にツールを使おうとしている学校も多いことが分かった。

また、「測定ツールの活用にあたって重視していること」(複数選択可)を尋ねたところ、「現状の把握(偏差値や志望先への合格率のため活用)」が59.8%と最も高かった。次いで「教員の指導力の向上への活用」が54.2%に上った。

この結果を説明した文科省の担当者は、生徒の学力の相対評価を確認するために活用するケースが多い半面、基礎診断が目指している高校生の基礎学力の定着に向け、学校教育のPDCAサイクルを促進するために測定ツールを活用している状況もうかがえると分析。今後、さらに先進的に取り組む学校への調査研究などを進め、基礎診断が授業改善につながることを示すモデル事例を作るとともに、先進的な事例をホームページなどで紹介し、さらに普及促進に努める方針を説明した。

これに対して各委員から提案や要望が相次いだ。田村知子委員(大阪教育大学連合教職実践研究科教授)は「学校によってさまざまな状況があることが分かったが、ツールのニーズは学校によって異なると思う。学校同士でツールの活用について知恵を出し合えるプラットフォームをつくって情報を共有し、各学校の内発的な授業改善につなげてはどうか」と提案した。

清水美憲委員(筑波大学大学院教育研究科長・教授)は「実態調査の結果を各学校などにフィードバックすることも重要だ。今回は高校に焦点を当てているが、各自治体の教育委員会でも工夫している好事例があるので、そうした実態調査も進めてほしい」と要望した。

最後に荒瀬克己座長(関西国際大学学長補佐・基盤教育機構教授)は「まだ十分に考えが浸透していない面もあると思うが、学校が基礎診断をよく活用している動きが見えた。高校の新学習指導要領の本格実施を控え、学校の内発的な授業改善につなげることは重要。生徒たちが卒業後にいろんな進路に進む上で、求められる基礎的な学力とは何かなど、議論を進めるきっかけにしたい」と述べた。

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