働き方改革は“教師の探究授業” 妹尾氏や庄子教諭ら鼎談

教育研究家で本紙オピニオン執筆者の妹尾昌俊氏、東京都調布市立多摩川小学校の庄子寛之指導教諭、先生の幸せ研究所代表の澤田真由美氏をゲストに迎えたトークセッションが、東京都港区のDMM.com本社でこのほど開催された。テーマは「先生も子どもたちも幸せになる、働き方のモデルチェンジ」。数々の学校や教委で働き方改革についてアドバイスする澤田氏は「言葉だけが先行して、“働き方改革アレルギー”になっている先生もいる」と指摘。「働き方改革は、まさに先生の探究学習。一番身近な社会である職員室を、自分たちの手で変える体験をした先生たちは、社会は変えられると気付く。それを子供たちに伝えていってほしい」と呼び掛けた。

働き方改革について語り合う3氏(右から、妹尾氏、庄子教諭、澤田氏)

セッションでは、まず庄子教諭の働き方に着目。公立小学校での勤務を原則定時に終え、それ以降の時間は、大学院に通ったり、ラクロスの日本代表監督をしたりなどの活動に充てているという。

庄子教諭は退勤後の経験が自分のためになることはもちろん、学校生活で児童に還元できていると自身の経験を説明。その上で「教えることの限界を感じたのも大きかった。子供たちが学ぶ姿勢を持つだけで、授業準備の時間が減った。授業中は教えるよりも、子供たちを観察する、引き出すことに注力している」「黒板の前に立つ時間を減らして、児童の机を回る時間を増やしている。児童との個別の対話は、プリントのコメントなど授業後にメインでやっている先生も多い。どちらかと言えば、私の場合は授業中に一人一人の対話を大切にしている」などと、授業への挑み方の変化が結果的に働き方改革につながったと話した。

働き方改革を巡って、妹尾氏は「なぜするのかと質問したときに、『子供と向き合うため』と答える先生が多い。しかし、子供と向き合いすぎて先生が多忙になっている現状がある。子供のためばかりではなく、自分のための働き方改革をもっと意識してもいいのではないか」と提案。これに澤田氏も「これまで子供と関わる時間は聖域として、手を加えられなかった。従来のいい先生像を疑ってみてほしい。『先生も幸せになっていい』と気付ける自治体や学校が増えればいい」と賛同した。

また庄子教諭が妹尾氏に「自分が教員だったとして、多忙で苦しんでいる同僚にどのような働き掛けをするか」といった質問を投げ掛けた。妹尾氏は「まずその先生の気持ちに共感しつつ、多忙の理由の内訳を探る。プリントのコメント書きなのか、部活動なのか、可視化した上で『これは何のためにやっているのか』と一つずつ振り返る。原因によってアプローチは変わる」と回答。

さらに「世間に学校の働き方改革が浸透した結果、遅くまで仕事をしている人が悪いと個人を責める悪い風潮になりつつある」と懸念し、個人ではなく組織で課題と向き合う必要性を強調した。

澤田氏は教委の役割について、「子供の学びと一緒だ」と指摘。「変えるのはあくまで現場の先生。ただ教師が子供の学びに伴走するように、働き方改革についても教委と学校の関係が伴走型になればいい」と話し、自治体の役割の重要性に触れた。

他にも、働き方改革から考える校内研修の在り方や、教員志望者の減少などについてもトークが繰り広げられた。このセッションは4月21~23日開催予定のDMM.com主催「教育総合サミット2021spring」で配信される。

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