【全国学力調査】抽出・悉皆「2本柱」提案 専門家会議

文科省の「全国的な学力調査に関する専門家会議」は3月22日、第8回会合を開き、座長を務める耳塚寛明・青山学院大学コミュニティ人間科学部特任教授・お茶の水女子大学名誉教授が、全国学力・学習状況調査の再編の方向性を示した。調査の目的を明確に切り分け、①全国的な学力の経年変化を分析するための、一部の児童生徒に対する標本調査②学習指導の改善に生かすための、全ての児童生徒に対する悉皆(全数)調査――の2本柱に整理することが提案された。

耳塚座長は、全国学力調査の目的が「義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証して、その改善を図る」「学校における児童生徒への教育指導の充実や、学習状況の改善などに役立てる」「教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する」とされてきたと指摘。

これまでの成果として▽教育の成果をデータで確認し、なぜそのような結果が生じたのか分析を行い、改善を図ろうとするPDCAサイクルの浸透▽問題が提示されることを通じた、新しい学力に関するメッセージの現場への伝達▽都道府県間の相対的な学力差の縮小▽IRT(項目反応理論)を採用した経年変化分析調査――といった点を評価した。

一方で、教育政策に生かすには「全国的な学力の水準と格差について、時系列的な変化をモニターすることができない」「教科が限られ、また問題数が少なすぎて、教育課程の全体をカバーできない」といった課題があることを指摘。また指導改善に生かすにも「個々の子供の学力の変化を観察し、結果返却に一定期間かかっている」として、速やかな指導や継続的な指導が難しい背景を挙げた。

それを踏まえ耳塚座長は、第一に「国レベルで時系列的な学力の変化を正確に観察する」という目的に照らし、本体調査を補完するために実施されている経年変化分析調査・保護者調査を、国として実施すべき主要な学力調査として位置付け直すことを提案。この目的であれば、悉皆(全数)調査でなく標本調査で十分であり、また毎年でなく3年に1度程度の調査でよいと説明した。

第二に「地方や学校に対して、学習指導要領の理念や目標、内容等を具体的に示し、児童生徒の学習指導の改善や、地方の教育施策の検証に資する」という目的についても、教育委員会などからのニーズが大きいとして、現行の本体調査を基にCBT化を進めることを提案。第一の標本調査との2本柱とする案を提示した。

それぞれの目的に応じて調査を切り分けるこうした方針に対し、多くの委員から賛同の声があった。また「時系列的な学力の変化を正確に観察するための標本調査を全面的に打ち出し、広く知らしめる必要がある。いろいろな研究者がデータを分析できるようにすべき」「標本調査で(児童生徒に加え)教員のデータを取ることや、PISA、TIMSSなど国際的な調査とのデータの接続も考えるべき」といった指摘もあった。

専門家会議の下部組織である「全国的な学力調査のCBT化検討ワーキンググループ」は昨年8月に取りまとめた論点整理で、全国的な傾向の把握を目指すのか、きめ細かい指導の改善に活用することを目指すのかといった調査目的と、調査対象は悉皆か抽出か、一斉実施で行うかといった実施方法は「表裏一体の関係」と指摘。専門家会議の場で、調査目的を改めて整理するよう求めていた。

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