「子供の専門家は子供」 特別支援教育や教員の葛藤語る

子供の専門家は、子供自身――。「子供の声から学ぶ、明日からのインクルーシブ教育」をテーマにしたトークセッションがこのほど、東京都港区のDMM.com本社で開催された。自身がゲイと公表し、都内の公立小学校で非常勤講師として勤務する鈴木茂義氏、LITALICO研究所所長の野口晃菜氏、公立小学校で特別支援学級の担任をもつ森村美和子教諭が登壇し、インクルーシブ教育の実践や、教員としての葛藤などについて語り合った。

インクルーシブ教育について語り合う3氏(右から森村教諭、野口氏、鈴木氏)

冒頭で、森村教諭は「コロナ禍で子供たちのメンタルが不安定になったり、実践がうまくいかなくなったりと、『もう教員を続けられないかもしれない』とよぎった」と率直な思いを打ち明け、「子供たちが見る風景を私も見ることで、助けられた」と立ち直ったきっかけを説明。

不登校や周りの視線が怖いといった悩みを抱える児童が描いた、心の内を吐露したイラストや漫画を見せ、「不安な感情と向き合おうとする姿勢や、ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も大切にしようとする姿勢が読み取れた。子供の世界を見ることで、私自身発見があった」と語った。

公立小学校教諭としての経験もある鈴木氏は「担任だから(教室を)コントロールしなければと思っていた時期があったが、ハンドルを児童に預けてみたら、うまく行くようになった。子供の声を聞くことが楽しかったし、うまくいかないことがあっても、その過程ですら楽しかった」と回想。「子供たちが一番、いろいろな子供がいることを分かっている。当時は子供たち自身が学級経営をしていたように思う」と話した。

その上で、「子供の専門家は、子供自身。子供を弱い存在として見るだけでなく、尊敬と信頼が必要。私たちにはない専門性を子供は持っている。つまり、専門家が教室に何十人もいるということ。子供たちに聞くことが大切だ」と呼び掛けた。

野口氏も「先生は『自分が教えなきゃ』と思いがちだが、正解が分からなくたっていい。そのときは子供に聞けばいい」と同意し、「先生自身が『こうあるべき』という思考にはまって苦しんでいる。周りを頼って、学校内にいなければネットを活用して、いろいろな人にリーチしてほしい。大人だって、教師だって完璧じゃないと受け入れてほしい」とエールを送った。

森村教諭は自身も評価や周りの目が気になるときもあるとした上で、児童からもらった「つかれは、がんばりのあかし」と書かれたメッセージカードを披露。「教員は自分の疲れにすら気付けないことがあるが、教員自身が自分を大事にできる環境が大切。私も『私はどうせダメだ』と思うときもあるが、学校内外の人たちとつながって、頼ることで助けられた」と、自身の経験を踏まえてアドバイスを送った。

このセッションは4月21~23日開催予定のDMM.com主催「教育総合サミット2021spring」で配信される。

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