共通テストのCBT化は見送り 大学入試センターが報告書

3月24日に文科省で開かれた大学入試センターの記者会見では、大学入学共通テストでの将来的なCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)の活用について検討した報告書も公表された。CBTを活用すれば、従来の紙ベースの試験と比べて印刷コストや採点の時間などが省力化でき、動画を活用した問題など、CBTの特徴を生かした出題も可能だとした一方で、課題も多いとして、2025年の共通テストからの実施は見送り、中長期的な議論が必要だとした。CBT化するのであれば、一部の科目からではなく全科目を一斉に移行させることが、コスト面から望ましいとした。

従来の試験の課題とCBTの活用方法

報告書では、約50万人が受験する従来型の共通テストでは、同一時刻での一斉実施のいわゆる「一発勝負」を前提とし、紙の問題冊子による出題のため、問題や解答の形式に制約があり、印刷や管理、輸送などで膨大なコストがかかっていると指摘。CBTを導入できれば、これらのコストはほとんどかからず、採点も効率化できるだけでなく、動画や音声などの多様な出題・解答が可能になったり、解答に至るまでの過程が記録できたりするなど、さまざまなメリットがあるとした。

さらに、レベル分けされた膨大な問題群の中から出題され、受験生の能力を判定するIRT(項目反応理論)に基づく試験にした場合、試験を複数回実施することができ、試験ごとの受験生の能力を継続して比較可能になるとした。

一方で、CBTによる解答とした場合、試験会場の確保やハードウエアなどの整備にかかる財源を含めた慎重な議論が必要だとも指摘した。

テストセンターで実施する場合の経費シミュレーション

コスト面では、今年の共通テストで試験会場が置かれた全ての自治体にテストセンターを設置し、20日間かけて6科目を実施した場合の経費は、168億8334万円に上り、受験生1人当たり3万3767円かかると試算。一部の科目だけをCBTで実施し、他の科目を従来通りに行った場合では、CBTの試験コストに従来通りの試験コストも加わることから、CBTに移行するのであれば全科目一斉が望ましいとした。

また、IRTについても課題があり、問題は特定されないように、品質が確かめられた膨大な量をストックしておく必要があり、同じ試験問題を何度も利用する場合は、非公開を原則とする必要があることから、問題作成やその管理に大きなコストが生じるとした。

大学入試センターの白井俊試験・研究統括補佐官・試験企画部長は「CBTはメリットもあるが課題もある。試験のやり方もかなり変わってくる。リスクも含めてやるのかどうか、国民的な議論が必要だ」と説明した。

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