「大事なのは教え方などのイノベーション」 鈴木寛氏が講演

教育関係者らによるオンラインイベント「掛川教育フェス2021」が3月27、28日に開催され、4月からのGIGAスクール構想の本格始動に合わせ、教員やクリエーターらがICTを活用した、これからの学びの実践に向けたアイデアを共有した。2日目には本紙「オピニオン」執筆メンバーの鈴木寛東京大学・慶應義塾大学教授が、日本の教育改革の針路と学校教育のミッションについて講演した。

教育改革の方向について話す鈴木教授(YouTubeで取材)

鈴木教授は、OECD(経済協力開発機構)のPISA(生徒の学習到達度調査)における、日本の国際的な位置を説明。PISAの対象である15歳時点では、日本はおおむね世界的にトップクラスの学力を維持していると分析した。

その上で「素晴らしい15歳のポテンシャルを、その後も伸ばせているかはクエスチョンマークだ」と、高校と大学に課題があると指摘。高大接続改革の流れの中で、高校新学習指導要領では探究を重視した科目に再編されたことや、大学入試で高校の探究的な学びを評価する総合型選抜の割合を高めていく重要性を解説した。

鈴木教授は、これからの時代の教育では▽個人や集団が身体的・精神的・社会的に幸福な状態であるウェルビーイング▽人工知能(AI)が人間の能力を上回る技術的特異点とされるシンギュラリティ▽Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)に象徴されるVUCAの時代――の3つがキーワードとなると強調。

想定外の事態となっても生き抜き、AIやロボットで代替されない仕事を起業しながら、真の幸せを実現していくことが、子供だけではなく大人にも求められているとした。

また、GIGAスクール構想によって、4月から全国の小中学校で1人1台環境が実現することを踏まえ、学校現場へのアドバイスを求められると、鈴木教授は「大事なことは、教え方や学び方のイノベーションをしなければいけないということだ。今までは、同時一斉一方向型でひたすら同じことをやってきたが、この学び方を個別最適化していく。それぞれの子供が隣の子供とは違うやり方をやれるように、カスタマイズしていかないといけない」と話し、教員は、子供の学びについて▽誰と誰をつなぐといいのか(コネクト)▽誰に共有したらいいか(シェア)▽これまでの学びの蓄積をどう検索できるようにするか(アーカイブ)――という3つの視点を大切にしながら、チームとなって教育活動に取り組んでいく必要性を呼び掛けた。

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