部活動の大会中止で仲間の力に 高校生が晴れ舞台を用意

新型コロナウイルスによって部活動の大会やコンクールが軒並み中止となったり、オンライン開催となったりする中、高校生が高校生のための発表の場を用意しようと奔走している。長野日本大学高校2年生の中澤貫太さんは、昨年から「晴れの舞台プロジェクト(晴れプロ)」を立ち上げ、地域の応援を得ながら、仲間と共に地元の高校生がパフォーマンスを発表する場づくりを行っている。そんな中澤さんに、晴れプロへの思いやその舞台裏を聞いた。

光が当てられなかった高校生のための晴れ舞台

コロナ禍に見舞われた2020年、運動部の大会の花形である全国高等学校総合体育大会(インターハイ)は中止となり、文化部の日本一を決める全国高等学校総合文化祭(総文祭)もオンライン開催となった。そんな不完全燃焼の高校生のために、高校生自身が発表の場をプロデュースしようという企画が晴れプロだ。

「長野灯明まつり」での美術部の作品展示(中澤さん提供)

晴れ舞台というからには、たくさんの人に見てもらえるようにと、中澤さんは地域のプロスポーツチームや地元のイベントと高校生のタイアップを企画することにした。第1弾として、長野市の観光名所、善光寺の境内で2月に行われた「長野灯明まつり」で、3校の美術部による作品展示を実現させた。さらに、3月下旬には長野県をホームとするプロバスケットボールチームで、B.LEAGUEに所属する信州ブレイブウォリアーズや、サッカーのJ3リーグに所属するAC長野パルセイロと交渉し、試合開始前や休憩中に、高校生によるダンスやチアリーディングなどのパフォーマンスを披露する時間を設けてもらう予定だ。

高校生による発表の場は4月以降も順次展開する予定で、文化部から運動部まで、さまざまな分野を対象に参加したいグループを募集している。

「光が当たらない部活動ほど、発表を求めているはずだ。チラシや学校への呼び掛けに力を入れていきたい」と中澤さんは意気込む。

部活動をしている高校生と、学校外で活動している高校生が交わる

中澤さんはもともと、学校や学年の垣根を越えて、地域で高校生が集まれる放課後の居場所づくりに取り組んできた。コロナによる休校が終わると、中澤さんの周りからはこんな声が聞かれるようになった。

「授業は再開されたけれど、部活動は二の次。大会やコンクールも開かれず、これでは何を目標に活動すればいいのか」

一生懸命に部活動を頑張ってきた仲間の力になりたいと、中澤さんは昨年10月に晴れプロを立ち上げ、学校も学年も違う6人の高校生が、プロジェクトメンバーとして名乗りを上げてくれた。当初はホールを借りてイベントを開催することも考えたが、感染防止対策の観点から断念。暗礁に乗り上げかけたときに出てきた起死回生のアイデアが、地域との連携だった。

信州ブレイブウォリアーズの試合でチアリーディングを披露する高校生(中澤さん提供)

活動を進めていくうちに「あなたの思いを応援したい」と協賛してくれる地元企業も増え、発表する場を確保できたチアリーディングのチームからは「会場の人にもパワーを届けたい」と背中を押された。それまで当たり前にあるものだと思っていた部活動の大会やコンテストが当たり前ではないこと、そして、高校生の思いを酌んでくれる大人が、地域にはたくさんいるということに気付かされた。

中澤さんは「僕は部活動をしていないけど、学校外で活動している。これまで交わることのなかった部活動をしている高校生と、学校外で活動している高校生が力を出し合えば、すごいことができる。今、自分たちで何をできるかを考えて動いている。この活動こそ探究じゃないか」と話す。

晴れプロを企画した中澤さん(中央、中澤さん提供)

地元紙で活動が取り上げられたことから、今では学校の教師や同級生からも注目を集めるようになった。4月からは高校3年生の中澤さんは、在籍する長野日本大学高校で文化祭実行委員長としても活躍する。「コロナで昨年は文化祭ができなかった分、今年はこれまでにないような文化祭にしたい。コロナでくすぶってきた思いをぶつけて、地域の人にも足を運んでもらい、学校のことを知ってもらいたい」と張り切る中澤さん。その表情には、隠し切れないワクワクした気持ちがあふれ出ていた。

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