「投票の義務化も選択肢に」 主権者教育会議で座長見解

主権者教育の今後の在り方を検討してきた文科省の「主権者教育推進会議」は3月31日、最終会合を開き、各学校段階から家庭・地域までの主権者教育の充実に向けた提言を盛り込んだ最終報告をまとめ、篠原文也座長が藤原誠文科事務次官に手渡した。また、報告に併せて、選挙の投票率の低下傾向が続く中、篠原座長から「推進方策を進めても投票率向上につながらない場合は、憲法改正が必要になるかもしれないが、投票の義務化も選択肢になるのではないか」との座長見解が示された。

最終報告を藤原文科事務次官(左)に手渡す篠原文也座長

同会議は2018年8月に設置され、約2年8カ月かけて主権者教育の今後の在り方について検討を重ねてきた。最後の会合となった31日はこれまでの議論をまとめた最終報告案が示され、各委員が了承。篠原座長から藤原事務次官に189ページに及ぶ報告書が手渡された。

同報告書では、主権者教育の入り口は幼少期のころから社会の動きに関心を持つことにあると強調し、各学校段階における取り組みの充実を提言。新学習指導要領の下、小中学校の段階から、主権者としての意識の涵養につながる取り組みの推進が重要であるとして、モデル校での実践や副教材を作成するとともに、子供たちが社会で起きている事柄に関心を持つよう、地域の関係機関と連携した政治や地方自治などに関する学習の充実を掲げた。

また、高校では、社会参画に必要な資質・能力を育成する共通必履修科目「公共」が新設されたことも受けて、現実の政治的、社会的事象の活用や模擬選挙の展開など、指導方法を工夫改善しながら取り組みの充実を図ることを求めている。

政治的中立の担保を巡っては、ドイツで中立原則の下に運営されている「連邦政治教育センター」などを参考にして、外部団体と連携して具体的な政治的事象を扱った教材の活用を推進することも重要だと指摘し、こうした取り組みの支援を求めた。

さらに家庭・地域の取り組みについては、「主権者教育の重要性について、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対し普及啓発する視点も考えるべき」と指摘するとともに、自治体や企業、NPOなど地域のさまざまな組織が連携し、社会総がかりで子供たちを育てる活動を進め、子供たちが地域の課題の解決に取り組む機会を増やし、取り組み事例を収集して横展開を図ることなどが必要だとしている。

一方、篠原座長は会合の最後に、報告書とは切り離した座長見解を示した。この中で篠原座長は「推進方策を進めても『投票率』や『投票の質』の向上・深まりにつながらない場合は、諸外国の状況も参考にしながら、将来的には投票の在り方について検討すべきではないか。その際、憲法改正が必要になるかもしれないが、投票の義務化も選択肢になるのではないか」との意見を述べた。

篠原座長によると、当初、最終報告に盛り込む意向だったが、一部委員から「推進方策が進まない場合の対応まで踏み込むべきでないのではないか」などと指摘があり、最終報告と切り離して見解を示すにとどまったという。

報告書を受け取った藤原事務次官は「今年は都議選や年内には総選挙もある選挙イヤーであり、主権者教育は大事な役割を果たし、脚光を浴びると思う。提言は非常に多岐にわたる内容で、いつまでに何ができるか、しっかりとまとめて施策を推進したい」と述べた。文科省では、21年度に主権者教育を進めるための組織を立ち上げて具体的な施策を検討するとともに、すでに21年度のモデル校の募集を始めており、今回の報告を踏まえて出来るところから具体的な取り組みを進めたいとしている。

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