小学校の35人学級やGIGAスクール構想など新しい学びが進められる中、自民党文部科学部会は「教師の確保・資質向上・支援小委員会」を設立し、4月2日、初回会合を開いた。今後、有識者や関係団体からの3回のヒアリングを経て、4月中に提言の取りまとめを行い、今夏にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込む。

初会合では、教員の養成・採用・研修の各段階での現状について文科省が報告。養成段階では、新たな時代に求められる教員の役割に応じた養成カリキュラムの必要性や、国立教員養成大学・学部での教員就職率が近年6割台と低いこと、教職大学院の定員割れなどの課題が報告された。
採用段階では、小学校を中心とした採用倍率の低下や、人材の多様性の乏しさ、アンバランスな年齢構成などの課題が指摘された。また研修段階では教員免許更新制について「限られた期間内に講習を受講しなければならない教師の負担、免許状未更新を理由とした教師確保への支障、大学等が質の高い講習を開設するための担当教員や採算の確保」などを課題として挙げた。
自民党文部科学部会の部会長で、小委員会の委員長も務める赤池誠章参院議員によれば、会合ではとりわけ、大量離職に伴う採用倍率の低下と年齢構成の変化、採用倍率の地域差、教員の処遇改善などに関心が集まったといい、取りまとめにあたっては「ヒアリングの内容を踏まえ、特定のテーマにとどまらず、養成・採用・研修・支援の4つの枠で、総合的な提言としたい」と述べた。
先月には中央教育審議会(中教審)の総会が開かれ、教員の魅力の向上を図るため、教員の養成・採用・研修の在り方について萩生田光一文科相が包括的な諮問を行った。中でも教員免許更新制については先行して議論することとされ、文科省は「教師の資質能力の確保」「教師の負担の軽減」「教師の確保を妨げないこと」の3つの観点から、抜本的な見直しを行う方向性を示している。
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