内閣府や文科省、厚労省にまたがっている子供に関する政策を一元化する「こども庁」の創設が、自民党の有志議員から提案され、菅義偉首相は自民党内での本格的な議論を指示した。これに対し萩生田光一文科相は4月2日の閣議後会見で「しばらくは党の議論を注目してみたい」と述べ、慎重な姿勢を示した。
「こども庁」の創設は、自民党の山田太郎参院議員らが4月1日、首相官邸で菅首相に提出した「Children Firstの子ども行政のあり方勉強会」としての緊急提言の中で示した構想。
専任の所管大臣による「こども庁」を新設し、虐待や自殺、事故、不登校、いじめ、貧困、教育格差などの一元的な把握と、各省庁に分かれている子供関連の施策について、総合調整や政策立案、政策遂行の強い権限を持たせることで、縦割りによる弊害をなくすとともに、国家予算の子育て関連支出の対GDP比を2040年には欧州並みの3%台半ばまで引き上げるとしている。
また、認定こども園、幼稚園、保育所における幼児教育・保育の質の向上や、保育士の処遇改善、学童保育と放課後子供教室の一元的な運用、子供に関わる職業に就く人が無犯罪証明書を取得・提出する「日本版DBS」の導入など、府省庁横断的な政策も盛り込んだ。
2日の閣議後会見で「こども庁」創設について尋ねられた萩生田文科相は「文科省においては、子供に関連するさまざまな課題に対応するため、内閣府や厚労省などと、課題に応じて連携を図りながら取り組みを進めている」と強調。その上で「『人への投資』ということにつながるのだとすれば、それはどういう形でも望ましいと思っている。しばらくは党の議論を注目してみたい」と述べた。
自民党では来週中にも正式な検討に入る予定。
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