高校2年生の1年間を地域で学ぶ 「地域みらい留学365」

高校2年生の1年間を地域で学ぶ国内単年留学「地域みらい留学365」の事業報告会がこのほど、オンラインで行われた。同事業は、高校生の地域留学を推進する内閣府の高校魅力化支援事業として、「地域・教育魅力化プラットフォーム」と共同で2020年度に立ち上げられた。同事業に採択された全国12校が留学生募集を行い、21年度に国内留学に挑戦する1期生23人が決定。現在、各校は生徒の受け入れに向け、最終準備を進めている。

「地域みらい留学365」の流れ

日本で初めて、高校2年生の1年間の国内単年留学を実現する同事業。留学生は、都会では味わえない本物の自然や文化に触れ、新たに出会う友達や世代を越えた多くの仲間たちと共に、地域ならではの魅力を肌で感じ、生きた課題に向き合う1年間を過ごすことになる。

報告会に登壇した地域・教育魅力化プラットフォームの岩本悠代表理事は「高校生という多感な時期に、自分の地域やテリトリー、既定路線を越えていく経験をすることで、自分が将来何をしたいのかが見えてくるだろう」と意義について話した。

留学生受け入れ高校に採択されている全国7道県の12校は、例えば「観光教育」で町のブランディングを学ぶ北海道斜里高校や、世界農業遺産「能登の里山里海」を学びのフィールドとした学習カリキュラムが設定されている石川県立能登高校など、地域の特色を生かしたここにしかない学びや、地域がバックアップするキャリア教育による実践的な学びを得られるカリキュラムを用意している。

留学の応募については、応募時点で高校1年生であることが条件。例えば普通科から商業科など、違う学科への留学や、定時制・通信制から全日制など課程の違う高校からの留学も、教育課程の調整など学校間で調整がつけば可能としている。留学中は、各留学先にて、寮もしくはホームステイ先に住むこととなる。

また、生徒は在籍校に在籍し続けるので、基本的には在籍校に授業料を納入することとなる。留学先校では授業料は徴収されないが、学年費や学校行事などへの参加費、寮費や食費などの生活費(月2〜6万程度)の負担が必要となる。

第1期生として留学希望の相談があった高校生は49人で、最終的には23人が第1期留学生に決定した。決定者の学校所在地は東京都が約3割を占めるが、その他、愛知県、香川県、沖縄県など13都府県から生徒が参加する。また、公立・私立の割合については、私立高校の生徒が約7割となっている。

留学決定者に留学を決めた理由を聞いたところ、「環境問題に興味があり、クリーンエネルギーを学びたい」「より地域に近いところで探究を学びたい」など、留学先校の問題意識とマッチした生徒が32%を占めた。そのほか、「星空のきれいなところで学びたい」など、地域に魅力を感じた生徒が18%だった。

留学中にチャレンジしたいこととして、「地域の問題改善に挑戦したい」「学校内はもちろん、学校外でも地域と交流したい」「過疎・少子高齢化など、町おこしに自分の好きなことで協力したい」といった意見があった。

また、留学希望者のうち、応募を断念した理由として、在籍校と留学先校で教育課程の調整がつかないことなどが上げられた。同事業では、現在の在籍校に籍を残したまま2年次に地域に留学し、3年次に在籍校に戻る仕組みとなっているため、いわゆる「学校間連携」により、留学先校で学んだ科目の単位を在籍校で認定することが可能だが、カリキュラムが折り合わなかったケースもあったようだ。

地域・教育魅力化プラットフォームの尾田洋平事務局長は「例えばオンライン授業を活用するなど、今後はさらに教育課程の調整、単位認定を円滑に実現できるように対応していきたい」と話した。

岩本代表理事は「高校2年生の1年間留学することで、系統的な教育課程や、継続的な部活動などの活動、持続的な人間関係などを手放す必要がある。これらは多くの生徒にとって重要なことで、最適な学びの姿だが、それがフィットしない生徒も数%存在している。『地域みらい留学365』は、そうした数%の生徒らにとって、良いマッチングになればと思っている」と力を込めた。

今後は同事業の留学先校を15〜20校に、留学生枠を50人に拡大することを目指し、今年7月ごろから第2期生の留学生を募集する説明会などを開催していくとしている。

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