「5歳児には幼児教育の共有が望ましい」 萩生田文科相

自民党内で次期衆院選の公約として浮上してきた「こども庁」創設構想に絡み、萩生田光一文科相は4月9日の閣議後会見で、就学前児童を対象とした施設に幼稚園、保育所、認定こども園が混在している現状について、「0歳、1歳、2歳、あるいは3歳ぐらいまでの集団的活動をする保育と、小学校に入学することを前提にした5歳児の幼児教育は中身が違う」とした上で、「(通う施設が異なっていても)5歳児には、文科省の教育要領による幼児教育の内容を共有してもらうことが望ましい、と個人的には思っている」との見解を明らかにした。こども庁については、自民党が来週にも検討組織を立ち上げて議論を本格化させる構えをとっており、萩生田文科相の発言はそれに先んじて議論に一石を投じる形となった。

5歳児の幼児教育について見解を説明する萩生田文科相

萩生田文科相は「こども庁」創設を提言した自民党の有志議員と4月7日に面会したことに言及。「提言については、総理から自民党に対して党内で具体的な検討を行うよう指示がなされたと承知しており、まずはそこでしっかりと議論が行われることを期待したい」と述べた。

幼児教育に関する文科省の考え方については「幼児期の教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培い、極めて重要。どのような幼児教育、保育施設に通っても質の高い教育を受けることができて、小学校教育へ円滑に接続されるよう、子供の発達や成長を一貫して支援する観点から、幼児教育・保育の質の向上を実現していくことが重要だと考えている」と説明。

続けて「古くから幼稚園と保育所という二つの形があり、そこに認定こども園という第三のカテゴリーも出てきた。幼少期の子供たちは通う施設によって、体験すること、学ぶことが異なっているという状況が続いている。保育と教育を直ちに合体したらどうかというご提案もあるが、0歳、1歳、2歳、あるいは3歳ぐらいまでの集団的活動をする保育と、小学校に入学することを前提にした5歳児の幼児教育は中身が違うと思う」との見解を披露。

その上で、自身の考えとして「将来的には、幼稚園に通っていても、保育所に通っていても、認定こども園に通っていても、例えば5歳児には、文科省の(学習指導要領に連なる)教育要領による幼児教育の内容を共有してもらうことが望ましい、と個人的には思っている」と表明。

「GIGAスクール構想が始まったが、パソコンのログインは、どのOSもローマ字でしなければならない。幼稚園で、あいうえおはもちろん、ABCまで勉強してから小学校に来る子供もいるが、残念ながら、あいうえおも十分でないまま1年生を迎える子供もいる。そうすると、どの施設に通っても、5歳児の1年間で、小学校1年生に上がる準備の学びをしてもらうのが望ましいという思いがある」と述べた。

さらに「できるだけ長い時間、(子供を)預かってほしいという親御さんのニーズは幼稚園でも非常に多い。多くの幼稚園で、幼児教育にプラスして保育をやっている」として、預かり保育をしている幼稚園が2019年度で87.8%に達している現状に言及。「他方、保育所は、幼児教育をやっているところが人気がある。それを考えると、(幼稚園と保育所が)かぶってくる部分を整理して、小学校に入る前の時間の過ごし方について、この機会に大いに議論したらどうかと思っている」と述べた。

「こども庁」創設構想は、自民党の有志議員が3月に提言を行い、菅義偉首相(自民党総裁)が4月1日、二階俊博・自民党幹事長に党としての検討を指示。自民党は次期衆院選の公約に盛り込むことを視野に、来週にも検討組織を立ち上げる。政府が来年の通常国会に設置法案を提出するスケジュールを想定している。

有志議員の提言では▽専任の所管大臣による「こども庁」の新設▽「こども庁」には、虐待、自殺、事故、不登校、いじめ、貧困、DV、非行、教育格差など子供に関する課題の網羅的・一元的把握と、医療、保健、療育、福祉、教育、警察、司法など各分野の子供関連施策について、縦割りを克服し府省庁横断の一貫性を確保するための総合調整、政策立案、政策遂行の強い権限を持たせる▽子育て関連支出の対GDP比を2040年の見通しである1.7%から、欧州並みの3%台半ばまで倍増させる–などを盛り込んでいる。

ただ、自民党文教関連議員にも「構想を提言した有志議員の若手には厚労省に近いメンバーが多い」として、「こども庁」創設構想の中で教育分野が軽視されかねないと懸念する声も出ている。保育所や認定こども園に通う幼児を含め、5歳児に対して、文科省が学習指導要領で明示している幼小連携の推進を前提とした幼児教育の共有を促した萩生田文科相の発言は、「こども庁」創設の検討が本格化するのに先立ち、文科省が所管する教育分野の重要性を強調する意味合いもうかがえる。

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