コロナ禍の休校リスク 厚労省委託の大規模調査で裏付け

大阪府立大学の山野則子教授らは、厚労省からの委託で行った、子供や保護者への新型コロナウイルスの影響に関する調査についての報告書を公表した。保護者と子供に対してだけでなく、学校や教育委員会、児童相談所など、関係機関にも及んだ大規模調査で、昨年の学校の休校以前から、休校中、再開後の状況についての変化を追った貴重なデータが示されている。4月9日に教育新聞の取材に応じた山野教授は「これまで指摘されてきた、子供へのコロナの影響が数値で裏付けられた」と説明。休校が子供に与えるリスクの大きさを指摘した。

児童相談所への調査における、性的な問題が「増えた」「少し増えた」の合計

報告書にまとめられた「コロナ禍における子どもへの影響と支援方策のための横断的研究」は、保護者と子供に対して行った調査と、全市町村の児童相談・母子相談部門、母子保健部門、教育委員会の3部署に実施した機関調査の2つで構成される。

保護者と子供の調査では、親子間においてコロナ禍で困っていることのギャップが明らかとなった。例えば、小学校高学年の群では、346件の全ケース中、111件で「生活リズム」についてのギャップが見られ、そのうちの81件は「子供は困っていないが親は困っている」という結果だった。また、「学業の遅れ」も、77件が「子供は困っていないが親は困っている」傾向が見られた。

一方で、「家の大人の人が仕事に行っている間の居場所」では、子供は選択したが親は選択しなかったケースが40件あり、「親は困っていないが子供は困っている」傾向にあった。

さらに、親の精神的な健康状態と子供のストレスの関係を調べると、親のストレスが高いほど、子供も重いストレスを抱えている割合が高くなり、親のメンタルヘルスが子供に影響を与えていることが示された。

機関調査では、学校への調査で、子供の欠席が「多い」「非常に多い」と答えた割合は、学校再開後と昨年末ではその割合がほとんど変わっていないことが分かった。

また、児童相談所を対象とした調査で、新型コロナウイルスの感染が拡大する前(2020年2月以前)と、昨年の緊急事態宣言、学校再開後、昨年末ごろを比較すると、ゲーム依存や性的な問題に関する相談が、学校再開後に高くなっていた。特に、性的な問題については、コロナ感染者数が多い自治体で学校再開後に相談が「増えた」「少し増えた」割合が突出して高く、緊急事態宣言中や昨年末と比べて2倍以上の28.6%に跳ね上がっていた。

山野教授は「休校中よりも学校再開後の方が顕著に増えているのは、家庭で我慢を強いられてきた子供が、休校によってストレスを吐き出す場所を失っていた可能性がある。休校が子供たちに学力以外のさまざまな部分でもリスクになっていたことは明らかだ。社会的な弱者である子供が犠牲になる休校という判断が果たして正しかったのか、学校を止めたことへの評価が問われている」と指摘。

その上で「学校も保護者も、子供の言葉にできない叫びや無意識な不安を読み取るようにしてほしい。毎日『今日はどうだった?』とさりげなく聞くだけでも、子供のストレスやトラウマは軽減される。コロナ対策として、ソーシャルディスタンスやマスクの着用などと並んで、大人が子供の声を丁寧に聞くことも、社会全体で取り組んでいくようにする必要がある」と呼び掛けた。

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