免許授与権者に裁量的拒絶権 わいせつ教員対策新法骨子案

わいせつ行為を行った教員を再び教壇に立たせないための法整備を検討している「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム(WT)」は4月12日、7回目の会合を開き、今国会中での成立を目指す議員立法の骨子案を示した。13歳以上でも生徒については本人の同意があっても性暴力との定義規定を設けるほか、教員免許の授与権者に「裁量的拒絶権」を与えて事実上、わいせつ行為を行った教員を排除できるようにする。WTは条文を固めた上で、野党の理解を得て今国会中の成立を目指すことにしている。

わいせつ教員対策の議員立法の骨子案について説明する共同座長の馳浩衆院議員(右)と浮島智子衆院議員

会合終了後に記者会見したWT共同座長の馳浩衆院議員(元文科相、自民)と浮島智子衆院議員(元文科副大臣、公明)によると、新法の法案は「総則」「基本方針」「基本的施策」「児童生徒性暴力等の防止に関する措置」「教員免許の再交付の特例」「その他(附則)」の6つのパートで検討中で、20条程度になる見通し。

「総則」では、教員による児童生徒への性暴力を「児童生徒本人の同意の有無にかかわらず、教員による児童生徒との性交やわいせつ行為など」とする定義規定を設ける。これにより刑法犯である強制性交や強制わいせつに加え、懲戒免職の対象となっているわいせつ行為なども「児童生徒性暴力」に該当するとしている。これにより刑法と異なり、13歳以上でも生徒については本人の同意があったとしても、児童生徒性暴力としたことが大きなポイントだとしている。

また、「教員免許の再交付の特例」については、3年経過後に自動的に教員免許が再交付される仕組みを改めて、再び免許を与えるのが適当であると認められる場合に限り免許を再交付すると規定。医師法などを踏まえ免許権授与者に「裁量的拒絶権」を与える形で、事実上、わいせつ行為で懲戒免職になった教員が教壇に立つことができないようにする。

再び性暴力を行うことがないと客観的に判断される場合に限って免許を再交付するとの内容は残す方針だが、その場合、第三者委員会の意見を聴かなければならないなどと規定する。

さらに文科省に性暴力の防止等に関する「基本指針」を定めることを規定するほか、国や地方公共団体には、性暴力で教員免許が失効した者の氏名や具体的事実について、文科省が整備している検索システムとは別に、より実効性の高いデータベースを構築する責務も規定する。また、新法の成立に合わせて教員免許法の必要な改正も同時に行う。

馳共同座長と浮島共同座長は「さまざまな団体からヒアリングを行ったが反対は1つもなかった。子供たちを守ることはだれもが第一に考えることであり、野党の理解もしっかり得て新法の成立を目指したい」と話した。

わいせつ教員対策を巡っては、3月12日の衆院文科委の質疑の中で馳議員が「わいせつ行為により懲戒免職となった者に免許を再交付しないという裁量権が授与権者に必要と思うがどう考えるか」と質問し、文科省の義本博司・総合教育政策局長は「(教員免許の授与権者への)裁量権の付与は一般論として排除されないと理解しているが、制度設計にあたって授与権者による裁量権の濫用(らんよう)に当たらないか、さらに他の制度との均衡の合理性、運用する場合の実効性の確保など総合的に勘案して判断する必要があると考える」と答弁していた。

いわゆる「刑の消滅」は、刑法34条の2の「禁固以上の刑の執行を終えて10年を経過したときは刑の言い渡しは効力を失う」との規定に基づくもの。萩生田光一文科相は昨年12月の記者会見で、わいせつ教員対策として教員免許法改正案の今国会提出の見送りを表明した際、内閣法制局との調整の結果、「現行法上、例えば、殺人罪などの重罪を犯し、懲役刑に処せられた場合でも、刑の執行後10年で刑が消滅することなどとの均衡上、法制的に取ることができなかった」と説明していた。

文科省は新たなわいせつ教員対策として、今年2月、都道府県・指定都市教委などが教員の採用にあたり、過去の懲戒免職処分歴を過去40年間まで検索して確認することができる新たな「官報情報検索ツール」を各教委や学校などに提供し運用を始めた。また、官報には懲戒免職処分の理由が詳しく記載されないため、わいせつ行為による処分かどうかが分からなかったことから、文科省令である教員免許法施行規則に懲戒免職処分の際に処分理由を明記する規定を新設し、4月1日からわいせつ行為による処分だったことが分かるように制度を改正した。

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