わいせつ教員対策与党案「簡単なルール作りではない」 文科相

わいせつ行為で懲戒処分を受けた教員に対し、教員免許の授与権者に「裁量的拒絶権」を与えて事実上、再び教壇に立つことがないようにする与党の法整備案について、萩生田光一文科相は4月20日の閣議後会見で、「思いを共有して議論を進めていただいていることは極めて重要だと思う」と評価した一方、「そんなに簡単なルール作りではないのではないかと心配している」と述べ、免許再交付を拒絶できる統一基準の作成などに課題があるとの所見を明らかにした。与党では、大型連休明けにも議員立法として与野党で合意し、今国会中の成立を目指している。

わいせつ教員対策の与党案について所見を述べる萩生田文科相

新法案の作成作業は与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム(WT)が急ピッチで進めており、骨子案として▽児童生徒本人の同意の有無にかかわらず、教員による児童生徒との性交やわいせつ行為などを児童生徒性暴力と定義し、これにより、13歳以上でも生徒については本人の同意があっても性暴力と規定する▽文部科学大臣は性暴力の防止等に関する「基本指針」を定める▽懲戒処分によって教員免許が失効した場合、これまで欠格期間となる3年を経過すると自動的に再交付されていたが、この仕組みを改めて、再び免許を与えるのが適当であると認められる場合に限り、免許を再交付することとし、免許授与権者に「裁量的拒絶権」を与える--などを挙げている。

この新法案の受け止めについて、記者会見で質問を受けた萩生田文科相は「子供を守り育てる立場にある教員が、子供にわいせつな行為を行うことは決してあってはならないこと。ワーキングチームでもこのような思いを共有して議論を進めていただいていることは、極めて重要。仮に与野党で合意し、法制上の課題がクリアされるとすれば、それはいいことだと思う」と積極的に評価した。

同時に「いろいろ難しい点もあるのではないか。(懲戒処分に伴う3年の欠格期間が経過した人に対し)よその自治体では再び免許が出されて、この自治体では出さないと、その違いは何なんだ、ということがあっても困ると思う。国にその部分だけ基準を作れと言われても、地方教育行政や教員免許法との関係を考えると、そんなに簡単なルール作りではないのではないかと、ちょっと心配している」と指摘。都道府県などの教員免許の授与権者がそれぞれの裁量で再交付を拒絶する場合、その判断基準にばらつきが出る恐れがあることや、文科省が基本指針として統一基準を作成するとしても、その基準の在り方が難しいとの問題点を挙げた。

さらに「再交付の『裁量的拒絶権』を、各都道府県でどうやってバランスよく発信するのか。例えば、それを判断する人たちをどうやって選ぶのかなど、運用面ではいろいろ課題が出ると思う」とも述べ、都道府県などによる実際の運用にも課題があるとの見方を示した。

また、与党案が抱える構造的な仕組みとして、文科省が欠格期間を実質的に無期限とする教員免許法の改正に取り組み、刑法が刑執行後10年で想定する「刑の消滅」などとの整合性から、今国会での法案提出を見送った経緯を踏まえ、「結果として、私たちが考えていた法制度のアプローチとは違い、(欠格期間が過ぎた人に対する、教員免許の再交付について)全てを拒否することができないので、穴は開いてしまう」と指摘。「そこは法案が出てきた段階で考えてみたいと思う」と説明した。

与党WTでは、4月19日の会合で、骨子案について野党が大枠で賛成していることを確認。WT共同座長の馳浩衆院議員(元文科相、自民)によると、条文化に向けて詰めの作業を進め、大型連休明けには与野党で合意し、6月16日に会期末を迎える今国会中の成立を目指す。


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