【デジタル教科書】学習効果などで賛否 パブコメ310件に

文科省は4月26日、学習者用デジタル教科書の本格導入について議論している同省の検討会議が取りまとめた中間まとめに対し、310件のパブリックコメントが寄せられたと発表した。その中ではデジタル教科書と紙の教科書との関係や、デジタル教科書の学習効果、教員の負担増などの観点から、賛成意見とともに、慎重な意見も多く寄せられた。

デジタル教科書と紙の教科書との関係については、「子供たちの学力形成に大変有効であり、賛成である」「デジタル教科書と紙の教科書のそれぞれの有用性を生かしながら、併用することが望ましい」という意見の一方、「教科書は紙であるべき。教材であればデジタルのものでもよい」という反対意見も寄せられた。これに対し同省は、検討会議での実証研究なども踏まえつつ「引き続き丁寧に検討する」とした。

また「デジタル教科書によって学習効果が上がる科学的根拠がない。読解力の低下につながる可能性がある」という意見もあった。同省は「紙の教科書とデジタル教科書、それぞれの特性を生かした教育を進められるようにすることは、児童生徒の学びの充実に向けた授業改善に資するものと考えられる」との考えを示した。

またデジタル教科書の本格導入には、教員の負担が大きい、教材研究などの時間を十分保証すべきであるという指摘も寄せられた。同省は「教師の教材作成や児童生徒の学習状況の把握などにかかわる業務の効率化に資する面もある」とし、授業実践に役立つ事例集や研修動画を作成する方針を示した。

他にも、障害のある児童生徒への対応や、通信環境の整備、格差への配慮などが必要であるという意見が寄せられた。また「教科書無償給与制度を堅持すべき」という意見に対しては、文科省は「この制度は今後も変わらない」と明確に示した。

26日に行われた検討会の会合で、座長の堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授は「寄せられた意見の中には、デジタル教科書そのものの話やGIGAスクール端末の話など、この検討会議の守備範囲を超えているものも多数ある。ただ、デジタル教科書なるものに興味を持っていただき、多くの人に周辺事項も含めて懸念材料を示していただけたのは、非常に望ましい」として、最終報告に向け、検討会議での議論を続けるとした。

検討会議は今年3月17日に中間まとめを公表。「各教科等の授業時数の2分の1に満たないこと」とされている現行の使用上限を2021年度から撤廃することや、次の小学校用教科書の改訂時期である24年度をめどに、デジタル教科書を本格導入することを改めて提言した。

紙の教科書とデジタル教科書との関係については、①全ての教科等において、デジタル教科書を主たる教材として使用する②全て、または一部の教科等において、紙の教科書とデジタル教科書を併用する③一部の学年、または教科等においてデジタル教科書を主たる教材として導入する④設置者が、当該年度で使用する教科書を紙の教科書とするか、デジタル教科書とするかを選択できるようにする⑤全ての教科等において、デジタル教科書を主たる教材として使用し、必要に応じて紙の教科書を使用できるようにする――といったパターンが考えられるとして、教育の質を高める方法の検討を求めている。

パブリックコメントは中間まとめが公表された翌日の18日から、4月4日まで、文科省のホームページなどで告知し、郵送・電子メール・FAXで募集した。

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