新学習指導要領を着実に 第11期の教育課程部会が始動

第11期中央教育審議会(中教審)初等中等教育分科会の教育課程部会は4月28日、今期初回となる会合を開いた。教育課程部会長に選任された荒瀬克己・独立行政法人教職員支援機構理事長は「教育課程部会の役割として、新学習指導要領の着実な実施がある。それに向けてフォローアップをどう図り、見守っていくのかが大変重要ではないか」と方針を示した。

オンラインで行われた教育課程部会(Webexで取材)

28日の初会合では、委員がそれぞれ自身の問題意識を述べた。副部会長に選任された市川伸一・東京大学名誉教授・帝京大学中学校・高等学校校長補佐は「新学習指導要領で使われる言葉の意味が、学校に入り、教科に落とし込まれていくときに、伝言ゲームのように変わってしまう」と指摘した。

市川委員は「『学びに向かう力』『主体的に学習に取り組む態度』などの日常的な言葉は、解説本や教育委員会の通達を通じて、思い思いの解釈がなされて伝わってしまう。一方で『学びの自己調整』などの専門的な言葉は、よく分からないので(学校現場に)入ってこない、ということも起きている」と現状の懸念を表明。

その上で「そういう意味でフォローアップはすごく大事だ。現場で具体化されていく時に、偏った狭い意味になって伝えられてしまうとまずい。今年3月に(教職員向けの)参考資料を出しているが、こうした努力を地道に続けていかないと、せっかくの趣旨が教科、学校の中で生きてこない」と、学校現場への適切な伝達の必要性を訴えた。

同じく副部会長に選任された貞広斎子・千葉大学教育学部教授は「(学習指導要領の)フォローアップに関しては、個々の先生方がクラスの中で子供に向かって何をどこまで実践し、評価できているのかという点だけではなく、組織としての対応や組織の変革、地域との関わりなどにも焦点を当て、検証していくことが必要だ」と述べた。

今年度から新学習指導要領が全面実施となった中学校の関係者からは「新学習指導要領の推進にあたり、気を付けなければいけないのは手段の目的化。特にICTを授業の中で使うことが、目的になっていく可能性を心配している。ICTといえども道具、この点を間違わないようにしたい」(三田村裕・全日本中学校長会会長・東京都八王子市立上柚木中学校校長)という意見があった。

福井県福井市至民中学校の小林真由美校長は「昨年度はコロナの影響で大変な一年だったが、悪いことばかりでもなく、不確実な時代に子供たちが挑戦していく力をつけられたのではないかと思っている。改めて生徒の力を見て、子供と一緒に学校を作るという良さも感じた。(教育課程部会では)現場の状況をそのまま伝えていきたい」と意気込んだ。

またGIGAスクール構想による1人1台端末の活用が本格的に始まったことを踏まえ、堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授は「学力向上のためのAIドリルなどに矮小(わいしょう)化するのではなく、学習の記録を残し、振り返り、他者と協働し、対話し、そのためにICTも使うという考え方で、カリキュラム・マネジメントを目指すことが必要」と指摘した。

内閣府「子供の貧困対策に関する有識者会議」の構成員も務める末冨芳・日本大学文理学部教授は「ICTやオンラインを活用した学びは、ともすれば格差拡大的に機能する。また個別最適な学びも、それのみでは格差が拡大する。協働的な学びや個に応じた指導の中で、いかに全ての子供たちのウェルビーイングと、認知・非認知のスキルを伸ばしていくかを重視したい」と述べた。


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