「入学しない大学に入学金」を疑問視 学生らが署名活動

大学受験の過程で、入学しない大学にも入学金を支払っている現状は問題があるとして、都内の大学生らでつくる「入学金納入時期延長を求める学生有志の会」は4月28日、文科省で記者会見を開き、入学金の納入期限を毎年3月末まで延長することを求めた。オンライン署名サイト「Change.org」ではこれまで3万1000人を超える署名が集まっており、学生有志は5~6月をめどに、文科省や大学団体などに署名を提出するとしている。

文科省で記者会見する「入学金納入時期延長を求める学生有志の会」のメンバー、五十嵐悠真さん(左)と糸井明日香さん

現状では、国立大学など3月に合格発表がある大学を第1志望とした場合、第2志望以下の私立大学で2月中に納入期限が設定されていると、第1志望に合格して実際には入学しない場合も、入学資格を確保するために入学金を支払わなければならないケースがある。全国大学生活協同組合連合会が昨年、新入生の保護者を対象に行った調査によれば、入学しなかった大学にも平均で約30万円を支払っているという。

学生有志はこの状況を「受験生の選択肢を狭めている」とし、とりわけ困窮家庭での負担が大きいことを指摘した。その上で「入学金の納入期限を3月末とし、入学しない大学には入学金を払わないようにしてほしい。私立大学が、入学しない学生から取る入学金なしで経営できないのであれば、国が高等教育への支出を増やすか、学生個人への支援を手厚くし、この現状を改善してほしい」と訴えた。

署名運動を始めた都内の大学4年生、五十嵐悠真さんはそのきっかけについて、「友人から妹の大学受験の話を聞いた。入学金を払えないほどの(困窮した)家庭ではなかったものの、家庭環境から精神的なハードルを抱えていたようだ。親の事情を感じ取り、『親に申し訳ない』と自ら進路を諦める子供が多くいる。同じような思いをする人を作りたくない」と説明した。

大学の入学辞退とそれに伴う入学金の返還を巡っては、2006年11月に最高裁が判決を示しており、入学金について「その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り、学生が当該大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有する」として、「返還義務を負う理由はない」と結論付けている。

今回、学生有志が問題としている私立大学への入学金納入期限については現状、私立大学の裁量に任されている。経済的な困難を抱えた学生の負担は以前から指摘されており、文科省は02年以降、「徴収の必要性を明確にするとともに、その額の抑制に努めること」「独自の奨学事業や学生納付金の減免または分割納入などの措置を積極的に講ずること、これらの措置の具体的内容を学生募集要項に明確に記載すること」を私立大学に求める形で対応している、と説明している。


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