【免許更新制】「資質能力向上」軸に改革 中教審小委員会

教育現場の負担が指摘されている教員免許更新制の抜本的な見直しについて、中教審の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会の下に設置された、「教員免許更新制小委員会」は4月30日、初会合を開いた。文科省から現行制度を前提とした改革案が示されると同時に、委員からは同制度の本来の目的である「教師の資質能力の向上」を重視するならば、免許更新制ありきで議論するべきではないと訴える声もあった。

オンラインで行われた教員免許更新制小委員会(YouTubeで取材)

教員免許更新制の見直しについては、前期の中教審教員養成部会が申し送り事項として①教師の資質能力の確保②教師や管理職などの負担の軽減③教師の確保を妨げないこと――の、いずれもが成立する解を見いだしていく必要があると指摘している。

今回、「①教師の資質能力の確保」について、文科省は▽講習内容の質向上(教育委員会と大学の連携、必修・選択の見直しなど)▽オンライン化の促進▽研修と講習の相互活用の徹底(短時間の研修を講習と認定するなど)▽免除対象者の拡大(勤務実績などに基づく免除要件の緩和)――を、考えられる方向性として示した。

その一方でこうした変更を行うには、大学など更新講習開設者の負担増や、免除対象者を定める上での公平性の確保などが課題だとした。

また「②教師や管理職などの負担の軽減」については、オンライン化の促進など①と共通する方向性のほか、30時間を2年間で受講する仕組みを見直し、例えば受講期間を5年間に延長するなど柔軟化する案を示した。

同時に、こうした改善を行った場合、「教師の負担の軽減は見込めるものの、教育委員会や管理職などの負担の軽減は見込めないのではないか」と慎重な姿勢も示した。

さらに「③教員の確保を妨げないこと」については、免除対象者の拡大のほか、臨時免許状による対応、学校勤務未経験者(いわゆるペーパーティーチャー)に対する受講機会の拡大を挙げた。

ただ、これらの案についても「免除対象者の拡大については、退職教員が退職した直前の勤務実績などを確認することも考えられるものの、適切な運用を確保できるかという点に課題」「免許を更新するペーパーティーチャーが数多く出てくるかについては、慎重に考える必要がある」と、想定される課題も示した。

文科省が示した、現行制度を前提とした改革案

こうした現行制度を前提とした改革案に対し、同小委員会主査の加治佐哲也・兵庫教育大学長は「現行制度の課題と改革策は、ほぼ出尽くしている印象だ。やはり、教師の自律性を基にした学びを作る必要が基本になるが、そのことと更新制は関係ないのではないか、更新制によらなくてもよいのではないか、という意見も出ている」と指摘。

「学び続ける教師、学習者としての教師(という問題)は、教員に求められる不易の資質能力だが、ICTやオンライン、AIによって学びのツールが全く変わってきているという面もある。そうすると、新しいツールを活用した教師の学びの支援をする仕組み作りを考えるべきではないか。今後は、必ずしも現行の免許更新制に依存しない形で、教師の資質能力の維持向上を図るような議論を、より進めていくべきだ」と、議論の方向性を示した。

委員からも「教員免許の更新という意味ではなく、教員の資質能力の更新という意味で考えなければならない」「最新の知識・技能の修得については、投下した時間や労力に対する成果が上がっているか、正直なところ疑問。常に学び続けていく必要はあるが、そのことが教員免許更新とひも付いているかというと、別問題のところがある」といった声があった。

教員免許更新制は今期の中教審の重要な諮問事項となっており、萩生田光一文科相は「抜本的な見直しの方向について、先行して結論を得てほしい」と要請している。文科省は今後、教員免許更新制について、更新講習受講経験者の現職教員を対象とした意識調査を実施する方針を示している。

 


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