GIGAスクールの狙い「見失ってきている」 文科省前担当課長

1人1台端末の整備が本格化したGIGAスクール構想の現状を巡り、超教育協会は5月6日、オンラインシンポジウムを開き、前文科省初等中等教育局情報教育・外国語教育課長で、内閣官房デジタル庁準備室のメンバーでもある理化学研究所の髙谷浩樹・未来戦略室長が登壇した。髙谷室長は講演の冒頭、「学校の教員はあまりにも目の前にやるべきことが山積みになっており、GIGAスクール構想でも混乱と不安が生じている。ICTを入れることがそもそもどういうことなのか、見失ってきていると危惧している」と切り出し、国が目指す社会のデジタル化の基本理念を踏まえ、GIGAスクール構想の狙いについて学校現場などがいま押さえておくべき視点を解説した。

社会のデジタル化の基本理念から、GIGAスクール構想の狙いを説明する髙谷室長(Zoomで取材)

髙谷室長は、デジタル庁の設置に向けて国会で審議中のデジタル改革関連6法案のうち、国のデジタル政策に関する原則が示されたデジタル社会形成基本法案に触れ、その内容を踏まえてGIGAスクール構想が目指す方向性について、「情報が組織運営においてヒト・モノ・カネに並ぶ必要な資源となるデジタル化された社会で、教育が個人に最適な学びを提供するには、1人1台の端末から収集した学習記録やビッグデータをクラウド上に保管し、デジタル教科書などのコンテンツを付加して個人にフィードバックしていくようになる」と説明した。

その上で、さまざまなデータをひもづけるためには、文科省で進めている学習指導要領のコード化や教育データの標準化に加え、「学習者個人へのIDの付与が不可欠になる」と指摘。学校や自治体はGIGAスクール構想でそこまで想定して準備をする必要があると強調した。

また、髙谷室長はICT導入が学校の働き方改革を推進する側面についても触れ、「例えば、児童生徒の出欠確認をデジタル化する際に、担任が集計するのではなく一人の担当者で集計するようにすれば、各担任はその業務自体をやらなくて済む。そうやって学校全体の業務プロセスまでを抜本的に改革してほしい」と呼び掛けた。特にデジタル活用に長けた若い教員の声を積極的に生かしていくことが、教職の魅力向上にもつながると助言した。


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