「子供がSOS出せる教育が重要」 文科省自殺対策会議

子供の自殺予防について話し合う文科省の「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」が5月7日、オンラインで開かれた。子供たちがSOSを出しやすくするための「SOS発信プロジェクト」に取り組んだ和歌山県の教育相談コーディネーターの実践例が報告され、予防的な教育を進める重要性が強調された。会議では、今後の審議の方向性について、「SOSの出し方に関する教育を含めた自殺予防教育のあり方」を大きな柱としていくことを確認。委員からは学校現場のマンパワーを確保する必要性が指摘された。

児童生徒の自殺予防対策が議論されたオンラインで開かれた会議

会議では、和歌山大学教育学部附属小中学校などで教育相談コーディネーターを務める公認心理師の藤田絵理子さんが、コロナ禍で感じた児童生徒の変化や同校で進める児童生徒の「命を守る取り組み」の実践例を報告した。

藤田さんは、コロナ禍で学校行事の中止などによるストレスが積み重なり、子供たちの不安が高まっているなど、学校現場の課題を指摘。教員などと連携した「チーム学校」で児童生徒のケアに当たっているほか、児童相談所など学校外の専門機関とも関係づくりを進めていることに触れ、「各機関と信頼関係を築きながら、校外連携体制を充実させることが重要だ」と述べた。

続いて、附属中で行った「SOS発信プロジェクト」を紹介。高校生や精神科医のビデオレターなどからSOSを出すことの必要性を学んだ上で、生徒同士で意見交換を行い、「自分ならどうSOSを出せるか」を深く考えてもらったと報告した。このプロジェクトの後、生徒たちは親とのコミュニケーションが活発になり、友人のしんどさに共感して関わるようになるなどの効果が表れたという。

藤田さんは「学校現場で子供のしんどさの実情を捉えた教育の重要性が高まっていると思う。さらに予防的な教育を進める必要があると感じた」と強調した。

会議では、これまでの議論を踏まえて文科省が作成した「審議まとめ」メモが示され、今後、「コロナ禍の児童生徒の自殺等の課題と対策」や「SOSの出し方に関する教育を含めた自殺予防教育のあり方」を大きな柱として議論を取りまとめる方向性が説明された。

これに対して委員からは、学校現場の状況からマンパワーの議論がもっと必要だとの意見が相次いだ。関西外国語大学の新井肇教授は「自殺予防の施策をまとめる方向性はいいが、藤田さんのようなマンパワーがいかに重要であるか考えさせられた。施策とともにマンパワーをどう考えるかも検討すべきだ」と指摘した。

同会議では、さらにコロナ禍での児童生徒の自殺予防策や、児童生徒がSOSを出しやすくするための教育のあり方などについて議論を進める。

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