2年目のオンライン授業 全学年・全授業双方向への挑戦

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言の延長で、感染防止対策のためオンライン授業を始める学校も出始めている。東京都北区にある私立の桜丘中学・高等学校(髙橋知仁校長、生徒1212人)では、4月30日から全生徒を対象とした同時双方向によるオンライン授業に切り替えた。昨年の一斉休校でのオンライン授業の経験を踏まえ、2年目となる今回はどのような体制でオンライン授業に臨んだのか。髙橋校長と中野優教諭に聞いた。

全て同時双方向によるオンライン授業にした理由
教室でオンライン授業を行う教師(桜丘中学・高等学校提供)

同校では、2014年度から1人1台のタブレット端末(iPad)を導入し、日常の授業でもICTの利活用が進んでいる。とはいえ、入学して間もない新入生への対応などを考えると、4月中からの完全フルリモートでのオンライン授業は大きな決断だった。髙橋校長は2週間ほど前から、緊急事態宣言が出た場合を想定した対応を校内で検討。連休に入る前の4月26日から短縮授業を行い、オンライン授業へ切り替える準備を始めたという。

「緊急事態宣言でオンライン授業をする可能性が出てきた段階から、早めに全体で情報共有するようにして、教員からオンライン授業にした場合の懸念や不安を聞き、対応策を考えながら合意形成をしていった」と髙橋校長は振り返る。

入学して間もない新入生へのiPadの配布も何とか間に合い、現在は時間割に沿って1日6時間の授業が全て、Zoomによる同時双方向型で行われている。

集中力の持続や目への負担などを考慮して、授業時間は通常の50分から10分短い40分とし、その分、授業間の休憩時間を10分長くして20分確保した。また、大学生の兄や姉もオンライン授業になるため、家庭の通信に不安があるといった生徒には、登校してオンライン授業を受けられるようにするなどの対策を取っているという。

昨年の一斉休校の際、同校はオンデマンドと同時双方向のハイブリッドによるオンライン授業で対応した。なぜ今回は全て同時双方向型にしたのか。

その理由を髙橋校長は「昨年の休校中に改めて気付かされたのは、学校が生徒の生活リズムを守る上で重要な機能を果たしていて、自宅で過ごす生徒を孤独感から守らなければならないということだった。ICTで学びを止めずに、自宅にいても一定の生活リズムで教師や友達とつながり続けられるためには、オンデマンドよりも双方向型がいいと考えた」と説明する。

特に同校では、生徒同士のつながりの大切さを意識して、緊急事態宣言の延長に伴い、今後は週に1回程度の登校日も設定する方針だ。

コロナ禍の学校経営について、髙橋校長は「日々、状況が変わっていく中で、変化を予測して生徒のために先手を打っていくことが求められている。危機管理でも、進路指導でも、全てパーフェクトを目指したら最初の一歩を踏み出せない。走りながら考えることも大事だ」と強調する。

先を予測して新しい挑戦を
2年目のオンライン授業への挑戦を語る髙橋校長(左)と中野教諭

取材に訪れた日も、生徒がいない静かな教室で、教員は教科書やパソコンを開き、オンライン授業を行っていた。今回は、申請すれば教師が自宅からオンライン授業を行うことも可能にしたそうだ。

各教室には、前回の休校時の経験を踏まえて三脚や延長コードなど、配信に必要な備品があらかじめ整えられており、それぞれの教員もオンライン授業の事例を調べたり、不安な点をICTに詳しい教員に相談して解消したりするなど、オンライン授業に対するモチベーションは高いという。

中野教諭は「同時双方向だと、リアルタイムで生徒の表情が分かるので、授業の改善点も見つけやすい。授業と並行して、コミュニケーションアプリ上で操作の分からないところを生徒同士で教え合っていたり、リアルな授業ではあまり手を挙げない生徒がオンライン授業では積極的だったりといった、意外な発見もある」と話す。また、同校には生徒によるICT委員会があり、新入生向けにiPadの初期設定の解説動画を作成したり、便利な活用方法を広めたりと大活躍しているという。

「学校が再開したら、『オンライン授業は面白かったね』と生徒と分かち合いたい。失敗してもいいから常に新しいこと、オンラインだからできることに挑戦していきたい」と中野教諭は話す。


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