【35人学級】計画的採用へ自治体と協議 「同じ歩幅で」

小学校の35人学級の段階的な実現に向け、質の高い教員の確保が急務となっていることを背景に、文科省は5月14日、教員採用を担う地方団体との協議の場を設け、来週17日に初会合を開くことを明らかにした。萩生田光一文科相は14日の閣議後会見で、自治体によって計画的な教員採用が難しくなっている実態を踏まえ、「次のステージに向かっては、皆で同じ歩幅をちゃんと作っていこう、ということを考えている」と、自治体との協議を通じて計画的な採用を後押しする姿勢を明らかにした。

小学校の35人学級の実現に向け、国と地方の協議の場を設けるとした萩生田文科相

小学校の35人学級の実現にあたっては、文科省が今年度からの5年間で教職員1万3574人分の定数改善を示す一方、小学校での教員採用倍率が過去最低の2.7倍となり、質の高い教員の確保が懸念されている。また自治体によっては加配教員の不適切な配置や、非正規教員の増加も問題になっている。さらに小学校の35人学級を規定した改正義務標準法の附則で、少人数学級や外部人材活用の効果検証が求められるなど、課題は少なくない。

国と地方の協議の場ではこうした課題について、全国知事会、全国市長会、全国町村会や総務省を交えて精査する。さらに文科省と自治体の実務担当者からなるワーキンググループを設置し、具体的な対応策などについて並行して議論を深めた上で、必要に応じて来年度予算編成に反映するとしている。

文科省の担当官は「教員採用にあたっては今回の基礎定数の改善に加え、加配定数、退職者数、子供の自然減などの要素を考慮する必要がある。こうした要素を考慮し5年間の見通しを立てることで、正規教員の計画的な採用が行いやすくなる」と説明する。協議の場ではこうした要素のうち、特に現場で課題となっている部分を明確にすることで、小学校35人学級の円滑な実現につなげたい考え。

さらに効果検証についても「望ましい指導体制を考える上で、学力だけでなく非認知能力など、どのような指標を重視して検証するのが適切かという観点で議論していく」という。

萩生田文科相は「自治体によって計画的な教員採用をしていなかったことが、教員不足の要因の一つになっていることが明らかになった。この数年間で団塊世代が退職するのは分かっていたことで、ずっと手前から計画的に毎年毎年、きちんと新規採用をやっておけばよかったのだが、なかなか全国で同じようなスキームが取れていなかったことが、今回の35人学級の交渉をする中で見えてきた」と説明。

加配定数が正しく使われていない実態があることにも触れ、「こういったことをきちんと正しながら、必要な定数についてはしっかり要求していくということを、全国の皆さんと協力していくために共通認識の場を作って、お互いにチェックしていく」と、今回の協議の趣旨を語り、「同じテーブルを囲みながら、同じ方向でしっかり地方教育行政の仕組みを強化していくことを大きな目標にしたい」と述べた。

2019年度に実施した公立学校教員採用選考試験では、小学校の採用倍率が2.7倍まで低下。過去最高の12.5倍だった2000年以降、ほぼ一貫して下がっており、背景には団塊世代の大量退職を背景に、採用者数が5倍近く増えたことがある。

また、小学校の採用倍率が最も高い高知県では7.1倍、最も低い佐賀県、長崎県では1.4倍と、自治体により大きな差があり、とりわけ採用者数を急激に増やした自治体で採用倍率が低下している。小学校の採用倍率が2倍を切っている県市は、山形県、福島県、富山県、山梨県、広島県・広島市、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、北九州市。

文科省は今年に入り「『令和の日本型学校教育』を担う教師の人材確保・質向上プラン」を取りまとめ、既存制度の改正などを進めているほか、中教審部会でも教員の養成・採用・研修など、教員制度の抜本的な見直しに向けた議論に着手している。


ニュースをもっと読む >