中高生のヤングケアラーの認知度を5割に 連携PTが報告書

厚労・文科両省による「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム(PT)」は5月17日、家族の介護や家事などを担い、学習に支障が出るなどの状態にある子供(ヤングケアラー)の支援策をうたった報告書を取りまとめた。自分自身がヤングケアラーである自覚がなかったり、ヤングケアラーという言葉を知らなかったりする中高生が多いことから、2022~24年度をヤングケアラーの認知度向上の集中取り組み期間と位置付け、中高生の認知度5割を目指すと打ち出した。

報告書を取りまとめたPT共同議長の山本厚労副大臣(左)と丹羽文科副大臣

これまで、ヤングケアラーは家庭のデリケートな問題であることや、実態調査が行われてこなかったことで、支援の対象として把握されにくく、問題が顕在化しにくい状況にあった。厚労省が国として初めて全国規模で行った実態調査では、世話をしている家族が「いる」と回答した子供は、中学2年生で5.7%、全日制高校2年生で4.1%に上った。

取りまとめられた報告書では、家族の介護をしている18歳以上の若者の就労支援や、幼い弟や妹の世話をしているヤングケアラーなど、従来よりも対象を幅広く捉えたのが特徴。自治体レベルで実態調査を進め、早期発見によるアウトリーチ型の支援を展開していくことや、関係機関・職員の共同研修、連携の重要性を掲げた。

特に、子供と日々接する教職員は、ヤングケアラーを発見しやすい立場にあるとし、子供本人の観察や保護者面談などを通じて、教職員がヤングケアラーの特性を踏まえた上で子供や保護者と接し、必要に応じて学校でのケース会議などで情報を関係者間で共有することや、スクールソーシャルワーカーを活用した教育相談体制の充実、NPOと連携した学習支援の推進などを盛り込んだ。

また、国の実態調査では中高生の8割以上がヤングケアラーを「聞いたことがない」と答えるなど、社会的な認知度が低いことから、22~24年度の3年間を「『ヤングケアラー』認知度向上キャンペーン」(仮称)とし、中高生の認知度を5割に上げることを目指すとした。

報告書の取りまとめにあたり、あいさつしたPT共同議長の山本博司厚労副大臣は「社会的な孤立・孤独が大きな問題になっているが、ヤングケアラーはその中でも特に行政の手が届きにくかった。ヤングケアラーに(支援の)手を差し伸べる施策を講じることは、家庭全体の支援につなげるためにも非常に重要だと考えている。ヤングケアラー対策を通して、誰一人取り残すことのない社会を目指していく」と述べた。

同じく共同議長を務めた丹羽秀樹文科副大臣は「文科省としても、家族の世話の重い負担のために勉強する時間が取れない、学校に通えないなど、真に支援を必要としている子供たちを早期に発見し、スクールソーシャルワーカーを含む学校の教職員や教育委員会が連携しつつ、必要に応じて福祉による支援につなげていくための支援策について検討してきた。今後も取りまとめに基づき、また、これまでのヒアリングの内容を踏まえて、厚労省としっかり連携しながら、施策を推進していきたい」と語った。

報告書で示された支援策は、今年の政府の経済財政運営指針(「骨太の方針」)に反映される見込み。


ニュースをもっと読む >