全ての5歳児に就学前教育 文科省が「スタートプラン」

全ての5歳児を対象とする就学前教育の提供に向け、文科省は「幼児教育スタートプラン」を策定した。幼稚園、保育所、小学校の連携を強化する「幼保小の架け橋プログラム」を軸にして、幼児教育推進体制の整備を拡充する。5月19日に公開された議事録によると、萩生田光一文科相は14日に開かれた政府の経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)の席上、「全ての子供が格差なく質の高い学びへ接続する観点では、教育開始年齢の早期化が世界の潮流」と述べ、幼稚園や保育所、認定こども園の施設類型を問わず、幼児期から学びの基盤作りを進める考えを示した。

幼児教育スタートプランについて、萩生田文科相は諮問会議の席上、「好奇心や粘り強さなどの非認知能力を幼児期に身に付ける機会の提供など、全5歳児の生活・学習基盤を保障する幼保小の架け橋プログラムの推進等の、幼児期からの学びの基盤づくりを進めていく」と説明した。

文科省によると、この「架け橋プログラム」は、全ての5歳児に生活・学習の基盤を保障するとともに、▽幼保小連携で一人一人の発達を把握、早期支援につなぐ▽市町村教委と連携し、小学校教育に円滑に接続する--ことを掲げている。

それを実現する具体的な施策として、今年度予算に2億1000万円計上されている幼児教育推進体制の整備を、さらに加速させる。同省は「小学校の学習の基盤となる能力としては、言語能力、情報活用能力、問題解決能力などがある。これらを具体的につないでいくモデルを作る。幼稚園だけではなく、保育所も認定こども園も、地域にある幼児教育施設全体を一緒に質を高めて、小学校につないでいくことが狙い。そのためのコンテンツの開発とその普及をセットでやっていきたい」(初中局幼児教育課)としている。

幼児に対する教育や保育の内容は、文科省所管の幼稚園が教育要領、厚労省所管の保育所が保育指針、内閣府所管の認定こども園が教育・保育要領でそれぞれ定められているが、3・4・5歳児の教育部分は、文科省が所管する幼稚園教育要領として告示された内容が、保育所や認定こども園にも適用されている。幼児教育スタートプランでは、こうした幼児に対する教育部分について小学校との連携を強化し、施設類型を問わず、全ての5歳児を対象とする学びの基盤作りを目指す。

経済財政諮問会議は、来年度予算編成の基本方針として、6月上旬に閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)の策定作業を進めている。自民党は近く「こども庁」創設を巡る議論をまとめ、骨太の方針に盛り込むことで来年度予算編成に反映させる方針だ。こうした教育政策を巡る省庁再編論議が浮上する中、文科省では「どのような形になっても、福祉や子育て支援だけでなく、幼児教育の柱をしっかり立てていく必要がある」(初中局幼児教育課)として、新たに幼児教育スタートプランを策定し、経済財政諮問会議で打ち出した。

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