【GIGA到来】「子供との時間を創出」 日本MSに狙いを聞く

GIGAスクール構想で全国の小中学校に整備された端末のうち、マイクロソフトのウィンドウズ端末は、3割超のシェアを占める(同社調べ)。授業プラットフォーム「Microsoft Teams for Education(以下、チームズ)」も教育新聞のアンケートで、グーグル・クラスルーム、ロイロノート・スクールと並んで教員の支持を得た。学校現場で期待される効果について、日本マイクロソフト・文教営業統括本部の中井陽子統括本部長と佐藤正浩初等中等教育ICTソリューション担当部長は「ツールを使うことで業務改善につながり、新たに生まれた時間を子供のために使えるようになる」と説明する。

「ワンストップ」が特徴
オンラインで教育新聞の取材に応じる日本マイクロソフト・文教営業統括本部の中井統括本部長(左)と佐藤正浩初等中等教育ICTソリューション担当部長

中井統括本部長は学校現場の現状について、「活用が始まってきた時期で、研修などの支援を継続しています。『思ったようにはなかなかうまくいかない』というケースもあれば、『こんなに便利だったんだね』と気付くケースもあります」と述べ、スタート時の混乱がまだ続いている段階との認識を示す。

学校現場で広く使われているチームズの大きな特徴は、遠隔オンライン授業、チャット、掲示板、教材・資料の共有、課題の配布、アンケートや小テストなどがチームズだけで作成できること。双方向の遠隔授業やチャットのツールなどが別のアプリになっている、アップルやグーグルのツールと異なるところだという。「覚えなければならないことが少なく、切り替える必要もないので、研修の時間も少なく済みます」と、佐藤担当部長は話す。

佐藤担当部長がとりわけICT初心者の教員に勧めたいと話すのが、小テストやアンケートに使える「Microsoft Forms」(以下、フォームズ)だという。これまで用紙を配布していた手間が省け、端末上で回答すれば瞬時に集計ができるため、授業時間内に理解度が低い部分のフォローアップまで行うことも可能になる。

端末だけを使う以外にも、紙と組み合わせて使う方法もある。例えば、紙で問題を配布し、生徒には手書きで解いてもらうが、別途、各設問の正解/不正解を入力できるフォームズのページを作成しておく。生徒は問題を解いた後に自己採点し、端末からフォームズにアクセスして、正解/不正解を入力する。これだけでも正答率の高い問題、低い問題をすぐに把握し、迅速なフィードバックにつなげられる。

チームズの画面

チームズ内ではまた、ワード、エクセル、パワーポイントのデータを起動して、複数の児童生徒が協働して編集することができる。ワードで感想や意見を同時に書き込んだり、エクセルで一緒に表を作ったりすることも簡単だ。地域によっては校務用、授業用の端末を「2台持ち」している教員もいる。校務用端末でワードやエクセルを使っている場合は、そこで事前に作ったファイルを授業用端末に移してチームズ内ですぐに使うことができる。

「子供たちが使いやすいことも大事ですが、まずは先生が使おうと思わないと、授業でも使ってもらいにくい。普段から職員室で使っているワードなどが、そのまま使えるところはポイントです」と佐藤担当部長は話す。

業務改善も同じツールで

こうしたチームズ上の機能は授業や学習活動だけでなく、教職員の業務改善にも同じように使える。例えば前出のフォームズは授業だけでなく、家庭との遅刻・欠席連絡などでも活用できる。

同社と提携する大阪府堺市のパイロット校では、フォームズを使って保護者からの連絡を受け、そのデータを自動処理してチームズ上に投稿する仕組みを構築。朝の忙しい時間帯での電話対応が減り、その時間を別の打ち合わせなどに充てることができるようになった。これにより学校が削減できた時間を概算すると、年間で40時間分に相当するという。

さらに、クラス別・月別などに遅刻者・欠席者数を分類して「見える化」することも検討している。「この一連の流れができると、確認テストなど子供たちの学習履歴についてもデータとして蓄積し、個別最適な学びの状況を、学校や教育委員会などの単位で分析できるようになります」と佐藤担当部長は話す。

日々の連絡をデジタル化し、データ分析につなげるシステム

また、チームズのウェブ会議システムは、遠隔オンライン授業と同じように、職員会議や研修に使うことができる。さらにチームズ上でのワードやエクセルなどの協働編集機能は、教員のテレワークや資料共有といった場面で活用することも考えられる。

佐藤担当部長は「使うのは同じツールであり、情報共有の相手が先生同士か、子供が入るかの違いだけ。業務の改善が進んでくると、授業での使い方も分かるようになってくる」と、同じツールを軸に、授業と校務を行き来して使うようアドバイスする。「業務改善で先生たちに楽になってもらって、生まれた時間を授業のために使えるようになることが大切です」と意義を語る。

多くの場面で使えるアクセシビリティ機能

チームズやそれと連携して使えるワード、デジタルノートツール「ワンノート」などには「イマーシブリーダー」というアクセシビリティ機能が組み込まれている。

文字サイズや背景色を変える、速度を変えながら文章を読み上げる、自動字幕を表示させるといった機能は「特別支援学級でなくても、読むことが苦手、文章が理解しづらいといった児童生徒をサポートできます」と中井統括本部長は話す。あわせて60カ国語以上に対応した品詞ごとの色分け、ネイティブによる読み上げ、同時翻訳などがあり、外国語の学習にも活用できる。

読みやすさをアシストする「イマーシブリーダー」

ただ「今後は基本的な機能の使い方というより、授業の中でどう使ったか、という内容の情報が必要になってくると思います」と佐藤担当部長は指摘する。

同社は公式ウェブサイトでGIGAスクール構想に対応したページを設け、「GIGAスクールですぐに使えるヒント30」などを紹介しているが、6月には新たに教員向け活用ポータルサイトを開設し、授業の活用場面によりフォーカスした情報を共有していくという。

佐藤担当部長は「先生たちがいろいろな場面で作ったコンテンツ、指導案などを集約することを考えています。文科省が活用事例を共有しているStuDX Styleでは、OSによらない標準機能での活用例を紹介していますが、マイクロソフトの機能を使う場合にはどうすればよいのか、どういう効果があるのかといった情報を、ポータルサイトで紹介していく予定です」と意気込む。


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