幼児教育スタートプラン「義務教育に必要」 文科相会見

全ての5歳児に就学前教育を提供する文科省の「幼児教育スタートプラン」について、萩生田光一文科相は5月25日の閣議後会見で質疑に応じ、「5歳の1年間は、小学校に上がる前段階として同じ学びをしていただくことが、これからの義務教育に必要だと思っている」と述べ、幼稚園、保育所など施設形態の違いや経済状況などに関わらず、全ての子供が小学校就学前に質の高い教育を受けられることが重要だと強調した。その上で、「先生の指導方法が変わるわけだから、それも含めて中身を深くしていきたい」として、保育所を所管する厚労省など関係省庁に協力を呼び掛けていく考えを示した。

就学前教育について説明する萩生田文科相

萩生田文科相はまず、幼児教育スタートプランを策定した背景と狙いについて、「Society5.0時代を生きていく子供たちに必要な能力を育むため、小中学校における1人1台端末の整備や、小学校35人学級の整備などを進めている。こうした教育環境の改善を生かし、令和の日本型学校教育を推進していくためには、全ての子供が格差なく質の高い学びに接続できるようにすることが重要。(幼稚園や保育所など)施設の違いや経済状況などを問わず、小学校就学前に生活や学びの基盤を育む質の高い教育を受けることができるようにする」と説明。

スタートプランとして取り組む内容として、▽言葉の力、情報を活用する力、探究心といった生活・学習基盤を全ての5歳児に保障する「幼保小の架け橋プログラム」の開発推進▽保護者や地域の教育力を引き出すための子育て支援の充実▽幼児教育推進体制の強化▽保育人材の確保および資質能力向上--を挙げた。

こうした内容について、萩生田文科相は「就学前は(幼稚園や保育所など)施設形態がさまざま。無認可の幼稚園などもある。たとえどういう施設にいても、5歳の1年間は小学校に上がる前段階として、同じ学びをしていただくことがこれからの義務教育に必要と思っている」と強調。「文科省がまずプランを作るけれども、関係省庁にも協力を呼び掛け、先生方の指導方法が変わるわけだから、それも含めて、これから中身を深くしていきたい」と話した。

施設形態によって幼稚園教諭や保育士などの資格が異なる点については「将来的には制度を統一化していったらいいと思うが、そうすると組織論と同じ話になってしまう。令和の時代になり、いままでと全く違うのは、小学校1年生からパソコンやタブレットが配られる学校が始まったこと。それに合わせて、幼児教育段階でも準備が必要だと思う。まずは、どこ(の施設)にいても、こういうことはやってもらいましょう、という呼び掛けをしていきたい」と述べ、制度的な問題には当面踏み込まない考えを示した。

また、自民党で議論が進んでいる「こども庁」構想との関連については、「こども庁の議論は、子供の政策に光を当てるという観点では歓迎したい。一方で、こども庁の議論に関わらず、幼児教育の充実は文科省としてしっかり取り組むべき課題。そのための充実策として幼児教育スタートプランを発表した」と説明。こども庁の議論と直接の関係はないとの立場を取った。

幼児教育スタートプランは、幼稚園や保育所などと小学校の連携を強化する「幼保小の架け橋プログラム」として、▽全ての5歳児に生活・学習の基盤を保障する▽幼保小連携で一人一人の発達を把握し、早期支援につなぐ▽市町村教委と連携し、小学校教育に円滑に接続する--ことを軸に文科省が策定。5月14日に開催された政府の経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)で萩生田文科相が提起した。同省は、6月中にも閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)に反映し、来年度予算編成で幼児教育推進体制の整備など関連項目の拡充を目指している。


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