担任も登校日数も生徒が選択 岐阜市の不登校特例校・草潤中

東海3県で初となる公立の不登校特例校として今年4月、岐阜市に同市立草潤(そうじゅん)中学校(井上博詞校長)が、全校生徒40人を迎えて開校した。生徒が担任も登校日数も選択できるなど、さまざまな特徴的な取り組みをしており、全国的にも注目されている。開校から2カ月たった同校の様子と、今後の展望を聞いた。

旧徹明小学校の校舎を活用した草潤中学校

全国的に不登校児童生徒数は増加傾向にあるが、同市では30日以上欠席している不登校の中学生が市内で全体の4.4%と、全国平均の3.9%(2019年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)よりも高い水準となっている。

そうしたことから、廃校の利活用に不登校特例校を検討。1年前に市教委に設置準備室を作り、全国の先進校の視察を重ねるなどしてきた。最終的には、3学年合わせて40人の転入学者が決定した。

同校の堀場徹教頭は40人という定員について、「多くの希望をいただいているが、大人数になることによって来られなくなる生徒も出てくる。先進校の事例も参考にしながら、1教室の適正人数は13人程度と考え、3学年で40人というスタートになった」と説明する。

登校については、毎日登校する生徒もいれば、数日登校したり、午前中だけ登校したりする生徒もいる。また、1人1台貸与されるタブレットを活用して、家庭での学習を基本にする生徒もいるなど、生徒のさまざまな状況に応じて、どんな形でも受け入れるようにしていると話す。

開校から約2カ月が経過し、現在は6~8割の生徒が登校しているという。「まだスタートしたばかりなので、なんとも言えないが、『学校自体を求めている生徒』が多いと感じている。これまでほとんど学校に登校できなかった生徒が来られるというのは、本校のコンセプトがマッチしたのではないかと思っている」と分析する。

授業については、教科として新設された「セルフデザイン」で、音楽、美術、技術・家庭科において、生徒たちがそれぞれ学びたいことを設定していく。その中で、外部人材などを活用しながら発展的な学習を行い、生徒の個性を伸ばしつつ、自己肯定感の育成を目指す。

また、担任を生徒の希望で決定できるようにしている。「担任教諭と合わないと、1年間、それだけで学校に行くことがつらくなる」という生徒の生の声を聞き、「担任を学校が決めるのではなく、生徒側が決める方がいいと思った」(堀場教頭)のが理由だという。

生徒たちは4月からの学校生活で感じた「あの先生と、もっと話したい」「あの先生なら悩みを話せそう」といった思いを家庭でも話題にし、5月半ばに担任が決定した。また、いつでも途中で担任を変えることもできる。

堀場教頭は「これまでの学校システムに合わせることに疑問を感じ、不登校を経験した生徒にとっては、『こうあらなければいけない』ということを強く押し出して、“学校らしく”なってしまうことが一番つらいこと」といい、「明確なゴールを設置できるものではない。どんな形が良いのかを、生徒や保護者、地域の方々と一緒に考えていきながら、不登校特例校の新たな形を模索していきたい」と展望を語る。


ニュースをもっと読む >