【デジタル教科書】検討会議が第一次報告案 WG設置へ

GIGAスクール構想による1人1台端末の整備に伴い、学習者用デジタル教科書の本格導入について議論している文科省の検討会議は5月27日、第11回会合で第一次報告案を示した。現状のメリットや課題を示した中間まとめに加え、技術的な課題を検討するためのワーキンググループの設置など、今後の検討を進める上での留意事項などを加筆した。第一次報告は6月上旬をめどに取りまとめ、7月にもワーキンググループを設置する方針。

第一次報告案では、「デジタル教科書は、より良い授業を構築し、児童生徒の学びの充実を図るための新たなツールとして期待されるものである。デジタル教科書の使用は、あくまで教育の質を高めることが目的であり、その使用自体を目的としたり、紙かデジタルかといった、いわゆる『二項対立』の議論に陥ったりすることのないよう、留意しなければならない」とする方向性を明記した。

また「検討を進めるに当たって留意すべき事項」として▽デジタル教科書に標準的に備えることが望ましい最低限の機能や操作性など▽クラウド配信により行う場合、一時的にオフラインでも使用できるようにするための仕組み▽過年度のデジタル教科書を使用できるようにするための方策(ライセンスの期間や費用の在り方など)――といった技術的な課題について、ワーキンググループで専門的に検討することが必要だとした。

委員からは「紙かデジタルかといった二項対立の議論に陥らない」という方針に賛同する声が多く上がり、また標準的に備えることが望ましい最低限の機能・操作性を議論する際には「特別な配慮を必要とする児童生徒のアクセシビリティー、ユーザビリティーの観点を入れるべきだ」という意見もあった。

今回の会合ではまた、今年度のデジタル教科書の普及促進事業について文科省が報告した。5月時点での速報値では、全1788自治体のうち1377自治体が参加し、学校数では小学校が約7900校、中学校が約4300校と、全体の約4割で実施する。最も多い教科は小学校では算数(32%)、中学校では英語(30%)。

委員からは学校現場の状況について「実際の使用に向けた整備と体制作りが重要。アカウント管理など新年度の対応は、1教科でもかなり大変だった」「デジタル教材を導入したことを理由に、紙の教材の導入を控えるよう通達が出ている地域がある」といった指摘が上がった。

座長を務める堀田龍也・東北大学大学院情報科学研究科教授は「これまでの実証研究はすでに前向きに導入している学校を対象としていたが、今年度は日本中の小中学校の4割で現実に運用が始まっている。現場の先生の意見や、混乱も含めて広く情報を集めるタイミングになったばかりで、ここで今後の在り方を語ってしまうのは、政策立案として難しいところがある」と、今年度の事業を踏まえて議論を継続していく意向を示した。

また「学びに向かう力をきちんと育てていくという学習指導要領の趣旨を考えると、端末やデジタル教科書をどのように利活用していくか、これから新しい世界をきちんと描かなければならない。紙をどうデジタルにするか、ということではなく、初等中等教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)として、しっかり進めていくということだ」と強調。

その上で「今後は、国としてどこまでデータ形式やデータ連携、インターフェイスなどを標準化し、どこからは各企業に任せるのか、見極めをしていく必要がある」と述べ、WGでの議論に向けた方向性を示した。


ニュースをもっと読む >