わいせつ教員防止法成立 与党WT「次の立法へ準備も」

わいせつ行為を行った教員を再び教壇に立たせないことを目指す「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案」が5月28日、参院本会議で可決・成立した。教員免許の授与権者に「裁量的拒絶権」を与え、わいせつ行為で懲戒処分を受けた教員への免許の再交付を拒否することができる内容。

わいせつ教員防止法案が可決・成立した参院本会議(参議院インターネット審議中継より)

法案を作成した「与党わいせつ教員根絶立法検討ワーキングチーム(WT)」で共同座長を務める馳浩衆院議員(元文科相、自民)と浮島智子衆院議員(元文科副大臣、公明)は記者会見し、「これで終わりではなく、スタートラインに立った思い。しっかり運用するとともに、新たに議連のような組織を作り、子供たちを守るための次の立法作りに取り組みたい」と抱負を述べた。

本会議では、法案を審議した参院文科委員長の報告後に採決が行われ、新法は全会一致で可決・成立した。この法案は与党が今年3月に立ち上げたWTが作成し、今月21日に与野党5会派共同の議員立法として衆院文科委に提案され、25日の衆院本会議で可決されて参院に送られていた。

主な内容は、教員による児童生徒との性交やわいせつ行為などを、本人の同意の有無にかかわらず「児童生徒性暴力」と定義し、禁止するとの規定を設けたほか、性暴力の防止等について、国や学校、教員等の責務をそれぞれ明記。また、免許授与権者に「裁量的拒絶権」を与え、わいせつ行為で免許を失効した者への免許の再交付を拒否できるとの内容を盛り込んだ。

新法の成立を受けて与党WT共同座長の馳議員と浮島議員は記者会見し、浮島議員は「子供たちを絶対守るという1人1人の強い思いで、89日間という短期間で成立できた。これで終わりでなくスタートラインに立ったとの思いで、文科省と連携し、緊張感をもってしっかり運用したい」と述べた。

法案成立を受けて記者会見する与党WT共同座長の馳衆院議員(右)と浮島衆院議員

今後、新法の運用に向けて文科省には▽文科相による性暴力等の防止に関する施策を推進するための基本指針づくり▽性暴力等による処分で免許を失効した者の情報に関するデータベースづくり▽都道府県が設置する教員免許状再授与審査会の運営に関する省令づくり――など、さまざまな作業が求められる。

こうした作業について、馳議員は「都道府県ごとに審査会の基準がばらばらでは困るので、ガイドライン作りやデータベース構築などに向けて、しっかり予算を確保できるよう取り組むことが与党の責任だと思っている」と述べ、政府への予算要求などを通してサポートする姿勢を示した。

また、新法の附則では、教員以外の児童生徒と接する業務従事者の、性暴力等防止に向けた措置を講ずることや、子供と接する幅広い業務に就いて、子供たちに性的な被害を与えた者に関する照会制度の在り方を検討し、必要な措置を講ずることを政府に求めている。

この照会制度「DBS(Disclosure and Barring Service)」はすでに英国で導入され、子供を性犯罪から守るために、学校や幼稚園などへの就職希望者に性犯罪歴がないことを公的機関が証明する。こうした取り組みに向けて、馳議員と浮島議員は、近く超党派の議員で議連か勉強会を設置し、次の立法づくりに向けて準備を進めたいとの考えを示した。

馳議員は「資格については保育士も視野に入れている。また、日本版DBSに向けては、すでに党内で議論が進んでいるので発展させたい。保護者が安心して子供を預けることができ、また、経営者や職員も安心できるようなシステム作りに向けて、立法の準備を進めたい」と述べた。

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