コロナ禍で外国人学校の子供もケアを 有識者会議発足

新型コロナウイルスの感染が広がる中、外国人学校に通う子供たちの安心安全の確保に向けて、外国人学校の保健衛生の在り方を検討する文科省の有識者会議(座長・佐藤郡衛明治大学国際日本学部特任教授)が発足し、初会合が6月2日、開かれた。外国人学校には複数の自治体から子供が通うケースが多いことから、広域的に対応すべきなどとの意見が出され、今後、文科省による実態調査を踏まえて、保健衛生環境の改善に向けた支援策を検討し、12月までに具体的な提言を取りまとめることになった。

オンラインで開かれた外国人学校の保健衛生環境について検討する有識者会議

文科省国際課によると、外国人の子供の教育を目的とする外国人学校は、学校教育法に定める学校が8校、各種学校の認可を受けている学校が128校あり、それ以外に無認可施設も68施設以上あるとみられている。多くの学校には、日本の小中学校と同様に衛生管理マニュアルなどが通知されるが、無認可施設の場合は、文科省が情報を提供するメルマガや多言語翻訳版を掲載したホームページを閲覧してもらっているため、感染防止策などがどこまで伝わっているかは把握できていないという。

このため日本の学校と同様に全ての子供たちの健康を確保するという観点から、ブラジル人学校の経営者や外国人の子供を支援するNPO団体の担当者、養護教諭などの専門家による有識者会議を立ち上げて、実態の把握や具体的な支援策について検討を進めることになった。

初会合では同省の担当者が、現在、161校の外国人学校を対象にコロナ対策の状況や保健室の有無、養護教諭の配置など詳しい実態調査を進めていることを報告し、次回会合で調査結果を示すことなどを説明した。

続いて各委員が、外国人学校を取り巻く現状の問題点などについて意見を述べた。ブラジル人学校を経営する倉橋徒夢委員(NPO法人在日ブラジル学校協議会副理事長)は「母国のブラジルでも感染が広がっており関心は高いが、言葉の壁や文化的な背景、資金面などで課題もあると感じる。施設でやれることは進めているが、現状ではやれることに限度がある面もある」と語った。

また、海外出身の子供たちへの教育支援を行っている田中宝紀委員(NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部責任者)は「手探りで運営しているが、県をまたいでの通所やオンラインを使って活動しているので、特定の自治体と関係を持つことは難しい。広域対応が必須と考えている」と述べ、自治体の枠を超えて対応が必要との認識を示した。

岐阜県で実際に外国人学校のクラスターが発生した際に対応した経験がある安田圭一郎委員(岐阜県私学振興・青少年課長)は「広域通学が特徴の外国人学校で、スクールバスの運転手から感染が広がったケースがあり、猛暑などを前に換気対策に課題を感じている。また、家族との連絡も取っているが、むしろ職場や教会などのコミュニティーと連携して対策や普及を考えることが効果的だと思う」と指摘した。

有識者会議は今後、月1回ほど会合を開き、▽外国人学校の保健衛生環境の現状を、いかに網羅的に把握していくか▽行政を含むステークホルダー(NPOなど含む)がどう関わるのが望ましいか▽現在の情報提供などの支援策がどの程度、有効に働いているか▽他にどんな支援策が考えられるか――などを主な論点として議論を進める。今年12月をめどに、具体的な提言などを盛り込んだ最終取りまとめを行う方針。

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