コロナ禍で苦境の日本人学校支援へ 文科省が「未来戦略」

コロナ禍で厳しい運営に直面している日本人学校などへの支援に向けて、文科省の「在外教育施設の今後の在り方に関する検討会」(座長・丹羽秀樹文科副大臣)は6月3日、中長期的な支援策などを盛り込んだ「在外教育施設未来戦略2030」を取りまとめた。児童生徒の減少などに苦しむ在外教育施設で英語力強化などの特色を育てる「選ばれる在外教育施設」づくりや、国内と同等の教育環境の整備などを支援する。文科省は新たな戦略を来年度予算に反映させて実行に取り組みたいとしている。

検討会であいさつする丹羽文科副大臣

文科省は、コロナ禍で日本人学校が厳しい運営を強いられているのに加え、2017年度に策定した「在外教育施設グローバル人材育成強化戦略」が今年度で最終年度となることから、今年3月に新たな戦略づくりに向けて検討会を設置、世界各地の日本人学校などへのヒアリングを重ね、来年度から2030年度までの在外教育施設の目指す姿や中長期的な支援策を盛り込んだ「在外教育施設の未来戦略2030」をまとめた。

新たな未来戦略では、海外の子供の教育を取り巻く環境が大きく変化する中、「選ばれる在外教育施設」づくりと、国内と同等の教育環境整備への支援を特に強く打ち出した。現地校のみに通う子供も増える中、英語力の強化や幼少中連携、イマージョン教育など、各施設で特色ある研究開発を進めてもらい支援を強化する。

また、施設のOBなどから「在外教育アドバイザー」を委嘱して、教育・運営全般について施設の校長などに助言する。教育環境の整備に関しては、国内でGIGAスクール構想による1人1台端末の整備が進む中、通信環境が整っていない地域の施設などに対し、日本にいる子供たちの同じようなICT環境で学べるように支援する。

検討会の終了後、丹羽副大臣は「在外教育施設はウィズコロナの中でも、企業の海外展開の基盤やグローバル人材育成の拠点として重要性が変わることはない。来年度の概算要求への反映も含めて、関係省庁と強力に連携して施策の実行に取り組んでいきたい」と述べ、具体的な予算化に向けて作業を進める姿勢を示した。

文科省国際教育課のまとめた資料によると、日本人学校はアジアを中心に95校が運営されているが、2019年に約2万人が在籍していた児童生徒数は昨年4月に約1万6600人と2割近く減少した。コロナ禍で日本に一時帰国したまま戻れないというケースが多いとみられ、日本人学校では、授業料収入の急減に加え、現地の入国禁止措置で文科省が現地に派遣する教師が着任できないなどの事態に直面しているという。