コロナ禍の偏見・差別への対応特集 人権教育・啓発白書

文科省と法務省は6月8日、2020年度の「人権教育及び人権啓発施策」(人権教育・啓発白書)を国会に報告した。コロナ禍で感染者や医療従事者らに対する偏見と差別が広がったことへの対応を特集で取り上げ、今後も注視を続けて適切な措置を講ずる必要があると指摘している。

白書では「新型コロナウイルス感染症に関連して発生した人権問題への対応」を9ページにわたり特集。この中では、感染者や医療従事者、その家族などへの偏見・差別が広がる中、「不安を差別につなげちゃいけない」をキャッチフレーズに、政府分科会の尾身茂会長のメッセージ動画やリーフレットを作成し、正しい知識の普及に取り組んだことを紹介した。

文科省関連では、コロナに関連した児童生徒への差別と偏見を防ぐために、全国の都道府県教委に生徒指導上の配慮を十分行うよう周知するとともに、昨年8月に萩生田光一文科相が児童生徒や教職員、保護者、地域住民に向けてメッセージを発したことを掲載した。

さらにコロナへの不安から子供たちが陥りやすい、差別や偏見について考えるための啓発動画を作成したほか、子供への見守りの機会が減少して児童虐待リスクが高まったことから、さまざまな地域ネットワークを活用して定期的に見守り体制を確保する取り組みを実施したことなどにも触れて、今後もコロナ禍の影響による動向を最大限注視し、適切な措置を講ずる必要があるとした。

また、インターネットによる人権侵害について、著名人に対する誹謗(ひぼう)・中傷などが深刻化したのを踏まえ、総務省などと共にSNS利用に関する人権啓発サイトを開設して、人権相談窓口の周知・広報を行ったことを掲載した。

文科省では、インターネットを通じたいじめなどへの対応として、都道府県や政令市が行っている学校ネットパトロールへの支援や、学習指導要領に基づき情報モラルに関する教育を推進していることを紹介している。

それ以外の人権教育や人権課題に関する主な施策では、▽地域ぐるみで学校での人権教育に取り組んだ事例の紹介▽アスリートへの写真・動画による性的ハラスメントの防止に向けた取り組み▽政府が昨年6月にまとめた「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」に基づく、被害者支援や加害者対策、教育・啓発の強化――などを掲載した。

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