「こども庁」構想、新たな行政組織の創設を明記 骨太方針原案

政府は6月9日、経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)を首相官邸で開き、来年度予算の編成方針となる「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)の原案を提示した。教育関連では、「こども庁」創設を求める自民党の決議などを踏まえ、「子供に関するさまざまな課題に総合的に対応する」として、新たな行政組織の創設を明記した。学校のICT活用については「災害等が生じた場合にいつでもオンライン教育に移行できる態勢を年内に全国で整える」と期限を設定し、GIGAスクール構想で進める1人1台端末と通信環境の整備を今年12月末までに終える目標を示した。

原案では、今回の骨太の方針を貫く骨格として、グリーン社会の実現、デジタル化の加速、地方の所得向上、子供・子育て支援を「4つの原動力」に位置付け、これらの分野への投資を重点的に促進することで、成長を実現していく考えを打ち出した。

このうち、子供・子育て支援では、「少子化の克服、子供を生み育てやすい社会の実現」を柱に掲げ、(1)結婚・出産の希望をかなえ、子育てしやすい社会の実現(2)未来を担う子供の安心の確保のための環境づくり・児童虐待対策--を重点項目に挙げた。

新たな行政組織の創設は、「子供の貧困、児童虐待、重大ないじめなど子供に関するさまざまな課題に総合的に対応する」ことが目的。「年齢による切れ目や省庁間の縦割りを排し、 妊娠前から、妊娠・出産、新生児期・乳幼児期・学童期・思春期を通じ、子供の視点にたって、 各ライフステージに応じて切れ目ない対応を図る」とともに、「就学時に格差を生じさせない等の教育と福祉の連携、子供の安全・安心の確保、データ・統計の充実等を行い、 困難を抱える子供への支援等が抜け落ちることのないような体制を構築する」とした上で、「こうした機能を有する行政組織を創設するため、早急に検討に着手する」と盛り込んだ。

こうした子供の関連施策は現在、内閣府、厚労省、文科省の3府省に所管が分かれている。内閣府の担当官は原案の内容について、「既存ではなく、創設。まさにこの文言通りで、こういった課題に対応するための組織を新たに作ることになる」と説明した。

子供関連施策を扱う新しい行政組織について、5月28日に公明党が「子ども家庭庁」の創設を菅首相に提言。自民党も6月3日、総合的な調整機能を持つ組織として「こども庁」の創設が必要などとする緊急決議を行った。これを受け、加藤勝信官房長官は6月8日の記者会見で「子供のために何が必要かという視点に立って、必要な政策を進めていくことが重要と考えている。縦割り行政を打破しつつ、適切に検討を進めていきたい。その検討体制の準備も進めている」と、政府の対応を説明した。

このほか原案では、デジタル時代の質の高い教育の実現として、教育再生実行会議が6月3日にまとめた第12次提言に盛り込まれた「個人と社会全体のウェルビーイングの実現」や、1人1台端末をフル活用した「データ駆動型教育への転換」を反映。教員制度改革についても「外部人材の登用を含む教員免許制度等に関する抜本改革を検討し、結論が出たものは年度内から見直す」と、できるところから見直しを実施する姿勢を強調した。

また、教育政策のデジタル化への対応について、GIGAスクール構想や小学校の35人学級による教育効果を実証的に分析・検証する方針を確認。その上で、学校のICT活用について「災害等が生じた場合にいつでもオンライン教育に移行できる態勢を年内に全国で整える」と書き込み、1人1台端末と通信環境の整備を今年12月末までに終える目標を示した。また、デジタル化に対応した大学設置基準の見直しについて年度内に結論をまとめ、大学の施設等の基準や定員管理、授業方法などを改革していくことを盛り込んだ。

「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)は与党による検討などを経て、近く閣議決定される。


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