日本型STEAM教育の可能性 「今は創造性の民主化時代」

日本型のSTEAM教育は実現可能か――。東京青年会議所は6月11日、STEAM教育をテーマにしたオンラインフォーラム「これからの教育~『知る』と『つくる』で変わる学び~」を開催した。文科省初等中等教育局の板倉寛企画官と、ジャズピアニストであり数学者、STEAM教育家の中島さち子「steAm」代表取締役が、日本の学校教育でどのようにSTEAM教育を展開していくかについて意見を交わした。

STEAM教育の日本での展開について意見を交わす中島さん(中央)と板倉企画官(YouTubeで取材)

OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査(PISA2018)の結果を基に、現代の日本の教育課題について解説した板倉企画官は、学習指導要領が目指す学びを支える基盤としてGIGAスクール構想があり、大量の情報を活用し、個人の学びを可視化したり、時間や空間を超えた他者との意見共有、合意形成などをしたりするには、ICTの強みを生かした教育を実現する必要があると指摘。

STEAM教育については「急激に変化する社会の中で、文系・理系に捉われず、問題を発見・解決していくことが求められる。STEAMの『A』はリベラルアーツと捉え、学習の基盤となる資質・能力の育成を文理の枠を超えて、教科横断的にやっていく必要がある。産業界と連携し、社会の問題解決をするといったことを、高校で重点的に取り組んでいくことが重要だ」と話した。

続いて登壇した中島さんは「今は創造性の民主化時代だ」と強調。イノベーションを起こすためには、さまざまな人やものが「越境」し、一人一人が問いを立て、試行錯誤していく社会がやってくると予想した。

その上で、STEAM教育の考え方として「単に科学や数学を学ぶというよりも、科学者や数学者、エンジニアのように考えるということだ。現実にある諸課題を前に、『ワクワク』を中心に『知る』と『創る』を循環させていく。GIGAスクールでハードウエアが入ってきたが、それだけでは難しい。新しい形の学びや教科書をつくっていく必要がある」と語った。

また、後半のパネルディスカッションでは、オーディエンスから「日本独自のSTEAM教育の手法とはどういうものが考えられるか」との質問が寄せられた。

これに対し、板倉企画官は「食べ物や郷土の固有の文化が日本の地方にはまだ色濃く残っており、生き生きしている。日本のSTEAM教育は、そうした地方の良さを生かして、開かれた学校の中で展開しながら、世界とつながることではないか」と答えた。

中島さんは「日本人は一つのことに対し、真面目に深掘りすることが得意だ。一方で、今はその深掘りしたものをつなぐことや、自分の考えなどを問われる体験が弱い。そこが強化されていくと、日本から世界に向けてもっと魅力的なものを発信していける」と期待を述べた。

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