「35人学級」実現にわいせつ教員防止法成立 国会が閉会

第204回通常国会が6月16日、閉会した。今国会では、小学校の学級編制標準を現行の40人(1年生は35人)から35人へ引き下げる義務標準法の改正はじめ、児童生徒へのわいせつ行為を行った教員を再び教壇に立たせないことを目指す議員立法など、教育現場を大きく変える教育関連法案が成立した。さらに自民党を中心に、子供に関する政策を一元化する「こども庁」創設に向けた動きも活発化し、次回以降の国会で本格的な議論がされる見通しとなった。

「35人学級」法案などが成立した第204回通常国会(衆議院インターネット審議中継より)

1月18日に開幕した今国会では、小学校の学級編制標準の40人から35人への引き下げを盛り込んだ、義務標準法の改正案が提案された。1980年に現行の40人学級が定められて以来、40年ぶりの改正。附則で定めた経過措置規定では、2021年度から5年間かけて、2年生から6年生まで学年進行により段階的に35人に引き下げ、小学校全学年で「35人学級」に移行する道筋が明記された。

また、附則では「35人学級」の教育効果を確かめる実証研究を行うことも検討規定として明記され、国会審議では効果検証の進め方について質疑が交わされた。これについて萩生田光一文科相は、効果検証は学力テストなどで測定される学力だけでなく、さまざまな教育活動や学校運営も含め「トータルでの効果を見守っていただくことが必要」と強調した。

さらに、菅義偉首相は衆院予算委で、「中学校の35人学級を念頭に、(小学校での)35人学級を実施する中で、少人数学級の教育に与える影響や外部人材の活用の効果を検証した上で検討したい」と述べ、初めて中学校の35人学級の検討に言及した。義務標準法の改正案は3月31日に参院本会議で可決・成立した。

また、わいせつ行為を行った教員を再び教壇に立たせないことを目指して与党が立ち上げたワーキングチームが作成した「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律案」が5月21日、与野党5会派共同の議員立法として提案され、同28日に参院本会議で可決・成立した。

新法では、教員による児童生徒との性交やわいせつ行為などを、本人の同意の有無にかかわらず「児童生徒性暴力」と定義し、禁止するとの規定を設けたほか、性暴力の防止等について、国や学校、教員等の責務をそれぞれ明記。また、免許授与権者に「裁量的拒絶権」を与え、わいせつ行為で免許を失効した者への免許の再交付を拒否できることになった。

この法律の附則では、教員以外の児童生徒と接する業務従事者についても、性暴力等防止に向けた措置を講ずることや、子供と接する業務に従事する者に関しても、子供に性的な被害を与えた者の照会制度の在り方を検討することなどを政府に求めている。与党はこうした取り組みを進めるために、超党派の議員によるプロジェクトチームを立ち上げて次の立法に向けて準備することにしている。

人工呼吸器やたんの吸引などの医療的ケアが日常的に必要な子供とその家族への支援について、国や地方自治体の責務を定めた「医療的ケア児支援法」も6月11日、参院本会議で全会一致で可決・成立した。

学校の設置者は、学校に在籍する医療的ケア児に対して適切な支援を行う責務があるとし、保護者が付き添わなくても適切な医療的ケアや支援を受けられるように、看護師などの配置を行うこととされ、自治体がその支援をすることも明記された。今後、学校現場での医療的ケア児への支援の充実が期待される。

一方、4月に自民党の有志議員が、子供に関する政策を一元化する「こども庁」創設を菅首相に提案したことをきっかけに、「こども庁」設置に向けた動きが活発化した。自民党が党総裁直属の組織として立ち上げた「『こども・若者』輝く未来創造本部」(本部長・二階俊博幹事長)は6月3日、「こども庁(仮称)」創設の提言など、子供中心の政策の実現を目指す緊急決議をまとめた。

こうした動きも踏まえ、政府は6月9日の経済財政諮問会議で示した、来年度予算の編成方針となる「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太の方針)の原案で、「子供に関するさまざまな課題に総合的に対応する」として、新たな行政組織の創設を明記した。現在、子供に関連する施策は内閣府、厚労省、文科省の3府省に所管が分かれており、「こども庁」設置に向けた議論は衆議院選挙もにらんで活発化し、本格的な議論は次回以降の国会でされる見通しとなった。

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