「データ駆動型教育」推進 デジタル社会へ重点計画を決定

9月1日のデジタル庁設置に先駆け、政府は6月18日の閣議で、デジタル社会を実現させるための道筋を描いた「デジタル社会実現に向けた重点計画」を決定した。教育分野では、教育データと教育ビッグデータの利活用を「データ駆動型教育」を支える車の両輪と位置付け、学習者用IDとしてのマイナンバーカードの活用などを含め、データ連携に必要なルール作りなどを支援するプログラムの創設を今年度末までに検討することを盛り込んだ。

社会のデジタル化とデジタル庁創設を巡っては、先の通常国会で新たな基本法として成立したデジタル社会形成基本法が9月1日に施行され、同時に現行のIT基本法が廃止される。この重点計画は現行のIT基本法に基づいて策定されるが、内容はデジタル社会形成基本法に基づく「新重点計画」に引き継ぐことを想定している。

重点計画では、デジタル庁が司令塔となって実現を目指す国民向けサービスを、実施主体によって「国・自治体」「準公共」「民間」の3分野に分け、教育や健康・医療・介護、防災などは「準公共」分野として、サービスの提供は国や自治体と民間の双方が担う一方、デジタル化に向けたシステムの整備とデータ標準の策定については、デジタル庁が主導して政府が行うことを明記した。

その上で、「準公共」「民間」の2分野については、①社会課題の抽出や実現すべきサービスの設定②必要なデータ標準の策定や、データを取り扱うルールとシステムの整備③運用責任者の特定やビジネスモデルの具体化--など、「デジタル化やデータ連携に向けた取り組みを一気通貫で支援するためのプログラムの創設」について、今年度内に検討することを示した。

さらに教育分野では、今後取り組むべきサービスとして、GIGAスクール構想による1人1台端末環境を前提に、先に政府の教育再生実行会議が第12次提言の柱とした「データ駆動型教育」の推進を強調。それを実現する車の両輪として「教育現場における日々の学習や実践の改善に資する教育データの利活用」と「教育政策の立案・実行の改善に資する教育ビッグデータの利活用」に取り組むことを挙げた。

具体的には、教育データの利活用を進める道筋として「教育データの蓄積・流通の仕組みの構築に向けたロードマップの提示」「児童生徒一人一人の学習者用IDについて、マイナンバーカードの活用を含め、ユニバーサルIDや認証基盤の在り方の検討」などを例示。教育ビッグデータの利活用では、「情報システムの対応方策や課題の整理」「政策や実践の改善に資するエビデンスのプラットフォーム構築に向けた検討」などを示した。

学習者IDとマイナンバーカードのひも付けについては、昨年12月に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画に、2023年度から希望する家庭や学校で利用できるようにするという目標が盛り込まれている。

また、重点計画では、健康・医療・介護について、生涯にわたる健康情報を本人が把握するパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)、最適なサービス選択のための情報連携、レセプト(診療報酬明細書)情報の活用など取り組むべきサービスに挙げた。オンライン診療、効果的で着実なワクチン接種を推進することも掲げた。

PHRは昨年7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針)で22年度をめどに実現させることが盛り込まれており、学校健診データのデジタル化と、マイナンバーカードとの連携によるマイナポータルからの閲覧が想定されている。文科省では今年度、調査研究事業として1億5500万円を投じ、学校健診の結果をマイナポータルを通じて閲覧するための実証実験を自治体と連携して進めている。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に盛り込まれた学校教育の関連部分
【教育

GIGAスクール構想による1人1台端末環境を前提として、下記を「データ駆動型の教育」の車の両輪として推進。

①教育現場における日々の学習や実践の改善に資する教育データの利活用
  • 教育データの蓄積・流通の仕組みの構築に向けたロードマップの提示
  • 児童生徒一人一人のIDについてマイナンバーカードの活用を含め、ユニバーサルIDや認証基盤の在り方の検討
②教育政策の立案・実行の改善に資する教育ビッグデータの利活用
  • 情報システムの対応方策や課題の整理
  • 政策や実践の改善に資するエビデンスのプラットフォーム構築に向けた検討
【健康・医療・介護】

PHRの推進(生涯にわたる個人の健康等情報を電子記録として本人や家族が正確に把握するための仕組み)、最適なサービス選択のための情報連携、レセプト情報の活用を図るほか、オンライン診療、効果的着実なワクチン接種を推進する。


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