全国学力調査CBT化で最終案 全国同日実施の見直し提言

全国学力・学習状況調査のCBT(コンピューター使用型調査、Computer Based Testing)化について検討している、文科省のワーキンググループ(WG)は6月21日、最終まとめ案について議論を行った。今年4月に上位組織「全国的な学力調査に関する専門家会議」が悉皆調査、抽出調査の2本柱を提言したことを踏まえ、総論・各論として9項目の論点を整理。その中で「現行の全国同日一斉という実施方式については、CBT化を契機に、より柔軟な仕組みとする」など、CBTの特性を生かして改善を図る方針が示された。

論点整理では総論として(1)段階的な試行・検証の必要性(2)端末による学習環境への習熟と発達段階などへの考慮(3)CBT化による学校現場への負担の考慮(4)詳細な調査設計の検討の必要性(5)CBT化に向けた体制整備の必要性――を指摘。

昨年8月にWGがまとめた中間まとめを踏まえ、「まずは小規模でCBTの試行とその検証に取り組み、その結果や明らかになった課題を、次回の試行・検証に向けた改善に生かすというPDCAサイクルにより前進させていく取り組みが、現実的かつ合理的」だとして、段階的に規模・内容を拡充することとした。また、児童生徒が使い慣れた環境で調査できるようにすることや、学校現場への負担をできるだけ軽くすることなどが盛り込まれた。

さらに各論として(1)日々の学習におけるICTの活用と全国的な学力調査との関係(2)CBTの利点を活かした学力調査の在り方(3)CBT特有の課題・論点(4)実施体制など――の4点をまとめた。

ここでは、CBTを現行のように全国同日一斉で実施する場合、「サーバ及びネットワークの負荷はかなり大きい」と指摘。専門家会議での議論を踏まえ「入試などと同様の厳格性を適用することは必ずしも要しない」として、全国同日一斉ではなく一定期間内(複数回)で実施すること、各学校が都合の良い調査日を選択できるようにすることが望ましいとした。

その場合、比較可能な調査問題を複数セット用意する必要があることから、「基本的にIRT(項目反応理論)の採用が必要」と指摘。「一定数の問題を継続的に使用する必要があるため、問題漏洩への対応が必要となる」として、守秘に関する同意を得る、スクリーンショットを撮れなくするなどの対策を検討するとした。また「自治体や学校を競争させたり、序列化したりするためのものではない」という調査の趣旨を周知し、不適切な行為を誘発しないようにすることも重要だとした。

出題方法については、イラストや動画・アニメーションを加えるなど、児童生徒の意欲をより引き出せるような出題も可能になるとして、調査研究を進めることとしたほか、教育指導への活用を踏まえ、「記述式問題を引き続き出題することが求められる」と指摘した。さらに、特別な配慮が必要な児童生徒への合理的配慮についても明記した。

委員からは、学校現場で技術的な課題に対応できる人材の育成や、児童生徒のタイピングスキルの向上などへの課題のほか、CBT化に向けた段階的な試行・検証の進捗(しんちょく)を見える化することなど、さまざまな意見が寄せられた。WGでは次回会合でも、最終まとめに関する議論を続ける予定。

今年5月27日に行われた全国学力・学習状況調査では、一部の国立大学附属小中学校約100校で、児童生徒質問紙調査を試行的にCBTで実施した。実施校からは「端末操作に慣れている児童が多く、スムーズだった」「回答用紙を回収する手間が省けた」といった声の一方、「初めてのことで、事前の設定や操作確認に手間がかかった」などの課題も挙がり、普段から端末の活用に慣れていることや、ネットワークなどのトラブルが生じた場合の対応など、教職員の端末などに関する一定のスキルが必要だとしている。


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