学校での熱中症の死亡事故は防げる 環境省がシンポ

環境省は6月23日、熱中症対策をテーマにしたオンラインシンポジウムを開いた。熱中症警戒アラートや暑さ指数(WBGT)を活用した教育現場での熱中症対策などを、専門家が解説。体育や部活動などでの熱中症の死亡事故を分析した、川原貴日本スポーツ協会スポーツ医・科学専門委員会委員長は「熱中症の重症化やそれによる死亡は、適切に予防すれば防げる」と教員に呼び掛けた。

熱中症のリスクや対策について専門家が解説したシンポジウム(オンラインで取材)

昨年度の試験導入を踏まえ、同省は気象庁と共同で今年度から熱中症警戒アラートを本格運用している。暑さ指数が33以上になると予測されるとき、前日の午後5時と当日の午前5時に、都道府県ごと(北海道、東京都、鹿児島県、沖縄県は地域ごと)にアラートが出るようになっており、アラートが出たら不要不急の外出を控え、屋外や空調のない屋内での運動は原則中止・延期するよう求めている。

熱中症のメカニズムについて講演した三宅康史・帝京大学医学部救急医学講座教授は、肉体労働やスポーツによって起こる熱中症は、若年から中年の男性で多く発症する傾向にあるとし、熱中症で死亡する人が多いのは仕事を始めた直後の3日間だと指摘。

「『今日から仕事』となれば、つい頑張りすぎてしまう。仕事初めは非常に気を付けないといけない。夏休み明けや新人が仕事をするときは、最初は慣らし運転で仕事内容と暑さに慣れることが重要だ。特に新人は人間関係ができていないので、調子が悪いことを周囲に訴えにくい」と注意を呼び掛けた。

また、熱中症が疑われる症状がある人への対処として、まずは相手の目を見て「大丈夫ですか?」などと声を掛け、はっきり返事があるなど意識が確認できれば、涼しい場所に移して水を自分で飲んでもらい、20分ほど付き添って症状が改善されたかをしっかり確認すること、もしそれらができないときは救急搬送の判断をする「F(Fluid)、I(Icing)、R(Rest)、E(Emergency)の原則」も紹介した。

教育現場でのスポーツなどの熱中症対策について解説した川原委員長は、日本スポーツ振興センターのデータを基に、熱中症による子供の死亡例は1975年から2017年の43年間に170件あり、そのうち部活動が145件を占めていると説明。「最近では熱中症への理解も広がり、年に1人程度まで減ってきているが、熱中症の重症化やそれによる死亡は、適切に予防すれば防げるものだ」と強調した。

その上で、スポーツにおける熱中症の死亡例の特徴として▽気温30度以下でも湿度が高いと発生する▽ほとんどが男性で、肥満者に多い▽ランニング(持久走、ダッシュの繰り返し)によるものが多い▽短時間(30分程度)の運動でも発生する――ことを挙げ、暑い時間帯はトレーニングを避けることや、欠食・睡眠不足など個人のリスク要因のチェック、軽い運動から徐々に運動量を増やし、1~2週間かけて暑さに慣らしていくといった対策をアドバイスした。

シンポジウムの動画は後日、YouTubeでアーカイブ配信される予定。

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