リスクと教育的意義に揺れる オリパラの学校観戦で討論会

中止を判断した自治体も出ている東京五輪・パラリンピック大会の学校観戦について、NPO法人「共育の杜」は6月26日、コロナ禍で学校観戦をする教育的意義とは何かをテーマにした討論会をオンラインで開いた。パラスポーツの体験を通じてインクルーシブな社会の在り方を考える活動を行っている、電通ダイバーシティ・ラボ コアメンバーの佐多直厚さんと、学校リスクが専門の内田良名古屋大学准教授が登壇。学校観戦を中止した場合でも、五輪やパラリンピックから学ぶ場を考えることの大切さを指摘した。

オリパラ教育を通じた子どもたちの成長について話す佐多さん(Zoomで取材)

討論会には、都内の学校に勤務する教員も参加し、大会まで約1カ月となったにもかかわらず、観戦の詳細な内容が知らされないままとなっている学校現場の実態を報告。小学校の教員は公共交通機関での長距離移動や観戦中の熱中症への不安を挙げ、「子どもを大勢連れて歩くのは気を遣う。特に低学年は心配だ。子どもたちの安全が守れない」と訴えた。

また、中学校の校長は「会場までバスなら30分で行けるが、電車だと乗り換えや徒歩がある。普段の校外学習でさえも、今は電車を使わない計画にしているのに、同じタイミングで何千人もの子どもが乗っている満員電車に生徒を乗せていいのか」と頭を抱えている状況を伝えた。

こうした現場の声を受けて、内田准教授は「リスクがあるからとにかくやめるのではなく、どうしたらいいかを考えるべきだ」と強調。「学校教育は常にベネフィットが優先されがちで、リソースのことを考えていない。リスクを見える化して、限られたリソースの中でできることを議論しなければいけない」と話した。

教員の不安の声に理解を示した佐多さんは「学校観戦をただやらないというのはマイナスだ。やめるのであれば、代わりに何かをするためのアクションであってほしい」と話し、例えば、GIGAスクール端末を活用して会場と学校をつなぎ、選手と交流するなどのやり方もあると提案。「子どもも一緒になって、どんな選択肢があるかを考えてほしい」と呼び掛けた。


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