小中学校の授業時間配分に学校裁量 文科省が新制度案

現在、教科ごとに定められている授業時間の配分について文科省は、来年4月から小中学校などで特定の教科の授業時間数を、1割を上限に減らして別の教科に上乗せできる制度を創設する方針を決めた。6月28日に開かれた第11期中教審初等中等教育分科会の教育課程部会で制度案を説明し、各委員からは「導入する学校には加配するなどリソースを確保してほしい」「いかに探究的な学びで生徒を育てているのかを検証してほしい」といった意見や要望が相次いだ。

「授業時数特例校制度案」が示された中教審の教育課程部会

同省の説明によると、新しい制度「授業時数特例校制度」は、教科横断的な視点に立った資質・能力の育成や探究的な学習活動を充実させるよう、カリキュラム・マネジメントに関して学校裁量の幅を拡大し、教科ごとの授業時間数の配分について一定の弾力化を認める内容。

具体的には、学年ごとに定められた各教科の授業時間数について、ある教科の授業時間数の1割を上限に減らすことを特例的に認め、その分を別の教科の授業時間数に上乗せできる。特例校の指定を受ける要件としては、学習指導要領の内容が適切に取り扱われていることや、各学年の年間における総授業時間数の確保などが示された。

充実させる学習内容例としては、学習の基盤となる資質や言語能力、情報活用能力などの育成、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力(伝統文化教育、主権者教育、消費者教育など)の育成などが挙げられている。

制度の対象となるのは、小中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程で、今年8月から特例校の募集を始め、来年度から実施したいとしている。

この説明に対し、各委員から意見や要望が出された。田村知子委員(大阪教育大連合教職実践研究科教授)は「学校に裁量の幅を持たせるのはいいが、授業の立ち止まりなど、子供の考える時間を切り詰めることがないか危惧される。最終的にできあがった教育課程が、子供や教師、保護者のウェルビーイングにつながっているか検証してほしい」と述べた。

今村久美委員(認定NPO「カタリバ」代表理事)は「端的に言うとリソース不足が心配だ。私たちが岩手県大槌町で『教育課程特例校』制度で新しい教科を設置した際も、導入期の先生の忙しさが増した。教師のモチベーションを高くして取り組まないと、いいものにならないので、手を挙げる学校に加配人事をすることも制度に盛り込んでほしい」と要望した。

末冨芳委員(日本大学文理学部教育学科教授)は「リソースとロジスティックを無視した教育課程改革はあり得ないので、必要な人員と予算確保はお願いしたい。また、いかに探究的な学びを取り入れて児童生徒を育てているのかという多角的な検証が必要で、アカデミックで政策にも耐えうる検証モデルを確立してほしい」と強調した。


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