理数教育の充実をテーマに議論 「デジタル」「学外の人も」

STEAM教育を含めた教育人材の育成などについて検討している、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員懇談会がこのほど開かれ、理数教育の充実をテーマに議論が交わされた。理科や算数・数学の勉強を「楽しい」と答える児童生徒の割合が、日本は全体的に低いことを文科省が説明し、今後、理数教育の改善に取り組む方針が示されたのに対し、各議員からは「遠隔教育の導入など、デジタルを活用して壁を越えるべきではないか」「産業界や科学技術に携わる学外の人も関わる形で議論してはどうか」といった提案や要望が出された。

理数教育の人材育成について議論した内閣府の有識者議員懇談会

会議では、はじめに文科省初中局の塩見みづ枝審議官が、理数教育に関する児童生徒の国際的な比較についてデータを示して説明した。国際教育到達度評価学会(IEA)の2019年調査(小学校は58カ国・地域、中学校は39カ国・地域が参加)によると、日本の平均得点は、算数・数学、理科とも全て上位5位に入っているが、「算数・数学の勉強は楽しい」「理科の勉強は楽しい」と答えた割合は、小学校の理科を除いて国際平均を下回った。

また、OECD(経済協力開発機構)が15歳児を対象に行っている学習到達度調査(PISA)の2015年調査で、「科学の楽しさ指標」を縦軸に、「探究を基にした理科の授業に関する生徒の認識指標」を横軸に各国を比較すると、日本は最低レベルで、探究を基にした理科の授業を行っているカナダや米国などの国ほど、生徒が科学の楽しさを感じる傾向にあることを示した。

この結果を踏まえて塩見審議官は、新学習指導要領では科学的に探究する学習活動の充実を掲げていることを説明し、「GIGAスクール構想で、外部とさまざまな形でつながるチャンスが広がっている。多くの関係者の協力を得ながら理数の面白さを実感して子供たちが知的好奇心を伸ばし、創造性を高めていける学びの環境をつくりたい」と強調した。

これに対して各議員から提案や要望が出された。佐藤康博議員(みずほフィナンシャルグループ取締役会長)は「STEAM教育には教師のレベルや量を整える必要があり、デジタルで壁を越えることも検討すべきだ。レベルの高い教員が離れていても教育できる、遠隔教育の仕組みをつくることがソリューションの1つになる。ただ、過重労働や処遇の問題も考えなければならず、教師の処遇改善もテーマの1つに取り上げるべきだ」と述べた。

藤井輝夫議員(東京大学総長)は「理数の中だけの議論になると広く子供たちの関心を高めるのは難しく、理数に閉じない形の議論をしてほしい。また、産業界や科学技術に携わる人たちなど、学外の方々も関わる形で議論するといいのではないか」と述べた。

同懇談会では今月に、教育人材の育成に向けた新たな検討の場を立ち上げる方針で、年内に議論を取りまとめ、来年の「統合イノベーション戦略」への反映を目指す。

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