【共通テスト】英語4技能と記述式の導入断念を提言 検討会議

文科省の「大学入試のあり方に関する検討会議」は7月8日、2025年以降の大学入学共通テストでの英語4技能試験と記述式問題の導入について、いずれも「実現は困難」とする提言をまとめ、萩生田光一文科相に手渡した。この提言を受けて文科省はこの夏にも導入の断念を正式に決める。提言によると、今後の大学入学者選抜における英語4技能試験と記述式問題は、各大学の個別対応に委ねられる。英語4技能試験については、「多くの大学・学部にとっては、資格・検定試験の活用が現実的な選択肢」として、英語民間試験を活用するため、国が主導して資格・検定試験実施団体と高大関係者等による協議体を設置。低所得層への検定料の減免やオンライン受検システムの整備、高校会場の拡充などに取り組むことを求めた。記述式問題では、出題に課題のある私立大学を念頭に国が促進策を行うよう促した。

提言では、冒頭、2019年11月から12月にかけ、共通テストへの英語4技能試験と記述式問題の導入を相次いで見送り、受験生が混乱するなど社会問題を引き起こした事態について、文科省に対して「今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯(しんし)に受け止め、提言に盛り込んだ大学入学者選抜に係る意思決定のあり方に示された諸観点については、今後、広く他の施策においても生かされることを強く求める」と明記した。

こうした文科省の反省と教訓については、提言の原案には触れられておらず、検討会議の委員の指摘で修正案に盛り込まれた。今回の最終提言では、表現をさらに強めた上で、この部分を審議の経過を説明した冒頭文の最後に置くことで、メッセージ性を高めた。

提言を手渡す三島座長(左)と萩生田文科相

提言を手渡す際、検討会議の三島良直座長(日本医療研究開発機構理事長)は「何が問題であったのかをしっかり見極めることと、それをベースに今後どのように対応していくかということを考え、提言をまとめた。これからの大学入試に関する政策決定のやり方についても、提言した。大臣のリーダーシップで提言を大学入試改革に反映してほしい」と述べた。

これに対し、萩生田文科相は「受験に関わる全てのみなさんの意見を聴取することが、初めてできたのではないかと思う。国民が納得し、受験生が公平にチャレンジできる環境を作るために、提言をしっかり生かしていきたい」と応答。文科省の意思決定に反省が求められた点については「文科省内の意思決定の在り方は、反省しなければならない点だと思う。今回の指摘を踏まえて、風通し良く、透明度の高い意思決定を国民にお見せできるような文科省改革にもつなげていきたい」と話した。

提言では、今回の教訓を踏まえた大学入学者選抜の意思決定について、①議論の透明性、データやエビデンスの重視、多様な意見聴取②実現可能性の確認・工程の柔軟な見直し③高等学校教育から大学教育までの全体を視野に入れた検討の必要性--を挙げた。特に、2021年1月に最初の共通テストの実施期日を定め、十分な対応ができなかった経過を踏まえ、今後の大学入学者選抜の意思決定にあたっては「理念や結論が過度に先行し、実務的な課題の解決に向けた検討が不十分にならないようにする必要がある」と、厳しく指摘した。

共通テストでの英語民間試験の活用では、地域格差や経済格差への対応が不十分などとして全国高等学校長協会(全高長)が見直しを求めるなど、受験機会や選抜方法における公平性が社会問題になったことを踏まえ、「外部の機関や専門家の協力を得ることについては、機密性・中立性や利益相反の観点から疑義を持たれないような仕組みを十分慎重に構築して行うことが不可欠」と指摘。

こうした「形式的公平性の確保」だけにとどまらず、▽地理的・経済的条件に配慮した受験機会の確保▽障害者差別解消法の規定に基づく障害のある受験者への合理的配慮の充実▽多様な背景を持つ学生の受け入れへの配慮--などを例示して「実質的公平性の追求」が重要だと明記した。

英語4技能試験については「高等学校までの教育課程において重視され、卒業後の社会における必要性を踏まえて大学教育でもその伸長の必要性が合意されている」とした上で、大学入学者選抜においても「実現可能な方法で適切に評価されることが望ましい」と指摘。大学入学者選抜でも「読む」「聞く」「話す」「書く」を対象とした英語4技能試験を行うことが必要との立場をとった。

その上で、共通テストでの英語民間試験の活用については「大学入学共通テスト本体並みの公平性等が期待される中にあって、この方式の実現は困難であると言わざるを得ない」と指摘。さらに、大学入試センターが独自の英語4技能試験を構築して共通テストで実施するという考え方も浮上したが、これについても「スピーキングテスト、ライティングテストについては、質の高い採点者の確保や正確な採点の担保等、記述式問題の採点と同様の問題や面接官・試験室の確保等の実施上の課題が生じるため、その実現は、技術の飛躍的進展や社会の理解がない限り困難であると言わざるを得ない」として断念する考えを明記した。

このため、英語4技能試験については、各大学の個別試験による対応が残された選択肢となり、提言では各大学における個別試験で「取組を推進することが重要」とされたが、一方で各大学にとっては実施上の課題が大きいことから「資格・検定試験の活用が現実的な選択肢」と指摘。共通テストで実施困難とされた英語4技能試験は、各大学が個別試験で英語民間試験をどのように活用できるかが、焦点として浮上することになった。

これを受けて、提言では、各大学が個別入試で英語民間試験を活用する環境を整えるため、国が主導して資格・検定試験実施団体と高大関係者等による協議体を設置することを提起。その協議体で議論すべきテーマとして、▽低所得層への検定料の減免▽オンライン受検システムの整備▽高校会場の拡充▽障害のある受験者への合理的配慮の推進▽成績提供の利便性の向上▽問題集の出版などを含む、試験実施団体内部での利益相反等に関する問題への対応のあり方▽各試験の質や水準等に関する第三者評価のあり方や調査研究の実施--などを挙げた。

共通テストでの記述式問題の出題については、見送りにあたって指摘された課題を▽採点者の確保▽正確な採点など採点精度の問題▽採点結果と自己採点との不一致▽大学への成績提供時期の遅れ▽民間事業者の活用に伴う利益相反の懸念の指摘▽採点をめぐる制約から評価できる力に限界があること--と整理。

その上で、共通テストは「50 万人以上が同一日・同一時刻に受験し、短期間で成績を各大学に提供しなければならない」と指摘。このため、「記述式問題を導入することについては、一定の意義はあるものの、課題の克服は容易ではなく、その実現は困難であると言わざるを得ない」と結論付けた。

このため、記述式問題についても、今後の対応は各大学の個別試験に委ねられることになった。ただ、記述式問題については、国公立大学では、2020年度の大学入学者選抜の一般入試全体(全教科)で、国立の99.5%、公立の98.7%がすでに何らかの出題を行っている。一方、私立大学の出題は54.1%だったことから、私立大学の対応が課題として浮上した。

提言では、国に対し「私立大学における記述式問題の出題の実態・課題を踏まえた促進策は重要である」と指摘。具体策として▽論理的思考力や論述力等を測る試験の実施状況等について把握し、改革の進捗(しんちょく)状況や優れた事例を一覧可能な形で可視化する▽他の大学の模範となる取組を行う大学を認定し、公表する--などを挙げた。

大学入試のあり方に関する検討会議の提言の主な内容(一部抜粋)
本検討会議の設置の経緯と審議の経過
  • 文部科学省においては、今回の事態が受験者等に与えた影響を真摯に受け止め、提言に盛り込んだ大学入学者選抜に係る意思決定のあり方に示された諸観点については、今後、広く他の施策においても生かされることを強く求める。
第1章 大学入学者選抜のあり方と改善の方向性
1.大学入学者選抜に求められる原則
原則①:当該大学での学修・卒業に必要な能力・適性等の判定
  • 大学入学者選抜は、各大学が各々の卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)や教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)に基づき、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)を定めて行う
原則②:受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保
  • 同一選抜区分においては、公平な条件での実施(形式的公平性の確保)が不可欠
  • 試験問題の作成や採点をはじめとした試験実施業務において、外部の機関や専門家の協力を得ることについては、機密性・中立性や利益相反の観点から疑義を持たれないような仕組みを十分慎重に構築して行うことが不可欠である。このことは受験生が安心して受験できるようにするためにも重要な前提である
  • 地理的・経済的条件に配慮した受験機会の確保や、障害者差別解消法の規定に基づく障害のある受験者への合理的配慮の充実、多様な背景を持つ学生の受入れへの配慮など実質的公平性の追求が重要
原則③:高等学校教育と大学教育を接続する教育の一環としての実施
  • 大学入学者選抜は高校以下の教育課程や指導方法に与える影響が大きいことから、高校教育を尊重する観点から種々の配慮を行うことが重要
  • 高校学習指導要領の考え方と齟齬をきたすことのない選抜に改善していく必要
2.これまでの教訓を踏まえた大学入学者選抜の改善に係る意思決定のあり方
(1)議論の透明性、データやエビデンスの重視、多様な意見聴取
  • 大学入試の見直しは、受験者をはじめ社会の広範な理解を得て行うことに留意が必要である
  • 国における大学入学者選抜に係る意思決定に当たっては、大学・高等学校関係者との協議を踏まえることを基本とし、実証的なデータやエビデンスに基づき、専門的・技術的な知見や幅広い関係者、当事者の意見に耳を傾けつつ、見直しに伴う負担と得られる成果の比較衡量も加味した慎重な検討を行うことが重要である。
(2)実現可能性の確認・工程の柔軟な見直し
  • 意思決定に当たっては、理念や結論が過度に先行し、実務的な課題の解決に向けた検討が不十分にならないようにする必要がある。
  • 実務的な実現可能性を常に確認し、課題の解消が難しいと判断される場合は工程を見直したり、他の方策の適否を検討したり、必要な場合は理念まで再度遡って検討したりするなど柔軟な姿勢で臨む必要がある。
(3)高等学校教育から大学教育までの全体を視野に入れた検討の必要性
  • 改革の目的実現のための具体策の検討に当たっては、大学入学共通テストと個別試験との役割分担、総合型選抜・学校推薦型選抜の更なる充実の可能性や大学入学後の教育等との役割分担に関する議論を十分に行うとともに、大学入学者選抜のみならず、高等学校教育から大学教育までの全体を視野に入れた改善の提案を行うことが必要である。
3.コロナ禍での大学入学者選抜をめぐる状況変化
4.入試システム全体に目配りした総合的な検討の重要性
第2章 記述式問題の出題のあり方
1.記述式問題の意義・必要性
  • 「自らの考えを論理的にまとめる思考・判断の能力」や「思考・判断した過程や結果を的確に表現したり、更には創造的に表現したりする能力」は、大多数の大学において、入学後、専門分野を学んでいく上で必要であり、高等学校教育においてもその育成が重視されているものと考えられる。
  • マーク式問題の出題でこうした能力を測定・評価することには一定の限界があることから、従前から「自らの考えを論理的にまとめる思考・判断の能力」や「思考・判断した過程や結果を的確に表現したり、更には創造的に表現したりする能力」をより直接的に評価する手法として記述式問題を出題する取組が行われてきた。
2.大学入学共通テストへの記述式問題の見送りの段階で指摘された課題
  • 大学入学共通テストへの記述式問題の導入に関わっては、以下のように様々な問題が指摘され、2019(令和元)年12 月の導入見送りにつながった。
(1)採点者の確保
(2)正確な採点など採点精度の問題
(3)採点結果と自己採点との不一致
(4)大学への成績提供時期の遅れ
(5)民間事業者の活用に伴う利益相反の懸念の指摘
(6)採点をめぐる制約から評価できる力に限界があることの指摘
3.記述式問題に関する出題の実態や大学の意見
(2)記述式問題に関する大学の意見
  • 国公立大学においては、「大学入学共通テストで記述式を出題すべき」について、肯定的意見の学部が7.8%(国立6.0%、公立11.5%) 否定的意見の学部が90.4%(国立93.7%、公立83.3%)であった。一方、「個別入試(一般選抜)で記述式を充実すべき」については、肯定的意見の学部が77.9%(国立78.3%、公立77.1%)、否定的意見の学部が20.2%(国立21.5%、公立17.7%)であった。
  • 私立大学においては、「大学入学共通テストで記述式を出題すべき」について、肯定的意見の学部は17.4% 否定的意見の学部は81.5%であった。一方、「個別入試(一般選抜)で記述式を充実すべき」については、肯定的意見の学部は51.8%、否定的意見の学部は47.4%であった。
4.記述式問題の推進の考え方
(2)大学入学共通テストにおける取扱い
  • 50 万人以上が同一日・同一時刻に受験し、短期間で成績を各大学に提供しなければならない大学入学共通テストにおいて記述式問題を導入することについては、一定の意義はあるものの、課題の克服は容易ではなく、その実現は困難であると言わざるを得ない。
  • 大学入試センターにおいては、これまでの大学入試センター試験及び大学入学共通テストにおける思考力等を問う試験問題の作成で得られた知見もいかし、高等学校の学びと大学入学後の学修との接続の必要性を踏まえ、マーク式問題の中で、知識の理解の質を問う問題や思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視した出題を一層工夫していくことが適切であり、第1回大学入学共通テストに対する評価も踏まえ、不断の改善に努めていくことが期待される。
第3章 総合的な英語力の育成・評価のあり方
1.総合的な英語力の育成・評価の意義
(国際共通語としての英語)
  • 英語は世界で最も話者が多く、インターネット上でも最も使用される言語である。各種の国際会議や国際ビジネスの場でも国際共通語と位置づけられており、非英語圏の多くの国民が第一外国語として学んでいるなど、グローバル化に対応する上で、我が国の次世代を担う若者にとっても「読む」、「書く」、「聞く」、「話す」の総合的な英語力は欠かせないと言える。
2.「大学入試英語成績提供システム」の見送りの段階等で指摘された課題
  • 大学入学者選抜における総合的な英語力の評価については、約 50 万人規模のスピーキングテストを同一日程・同一問題で大学入学共通テストとして実施することは困難であることを踏まえ、既に大学入学者選抜で広く活用され、一定の評価が定着している民間の英語資格・検定試験のうち、大学入試センターが参加要件を満たすものとして確認した試験の結果を一元的に集約し、各大学に提供する仕組みを導入することとなった。しかしながら、この「大学入試英語成績提供システム」に対しては、以下のような課題が指摘され、2019(令和元)年11 月に導入の見送りを行うこととなった。
(1)地理的・経済的事情への対応が不十分であるとの指摘
(2)障害のある受験者への配慮が不十分であるとの指摘
(3)CEFR 対照表で目的や内容の異なる試験の成績を比較することに対する懸念
(4)国の民間事業者への関与のあり方
(5)英語資格・検定試験の活用に関する情報提供の遅れ
(6)コロナ禍における英語資格・検定試験の安定的実施の課題
3.英語資格・検定試験の活用の実態や大学の意見
(2)英語資格・検定試験の活用等に関する大学の意見
  • 英語のスピーキング・ライティングの評価方法について、「大学入学共通テストの枠組で英語資格・検定試験を活用すべき」について、肯定的意見の学部が31.9%、内訳は国公立25.3%(国立 27.1%、公立 21.4%)、私立 34.2%、否定的意見の学部が 66.7%、内訳は国公立 72.8(国立72.6%、公立73.5%)、私立64.7%であった。
4.総合的な英語力評価の推進の考え方
(2)大学入学共通テストにおける取扱い
(大学入学共通テストの枠組みにおける資格・検定試験の活用の実現可能性)
  • 大学入学共通テストの枠組みにおいて、英語成績提供システムを介して様々な英語資格・検定試験のスコアを一元的に活用する仕組みについては、試験によって会場数、受検料、実施回数や、障害のある受験者への配慮が異なるなど、課題を短期間で克服することは容易ではないと考えられる。加えて、コロナ禍で資格・検定試験の中止や延期が生じ、外部の資格・検定試験に過度に依存する仕組みの課題も認識された。こうしたことから、大学入学共通テスト本体並みの公平性等が期待される中にあって、この方式の実現は困難であると言わざるを得ない。
(大学入学共通テストにおける4技能試験の開発可能性、大学入学共通テスト「英語」のあり方)
  • 実態調査や外部有識者からのヒアリング、本検討会議における各団体からの意見発表においても、大学入試センターが英語4技能試験を開発すべきとの意見があった。しかしながら、大学入学共通テストでのスピーキングテスト、ライティングテストについては、質の高い採点者の確保や正確な採点の担保等、記述式問題の採点と同様の問題や面接官・試験室の確保等の実施上の課題が生じるため、その実現は、技術の飛躍的進展等がない限り困難であると言わざるを得ない。
  • このように考えた場合、大学入学共通テスト「英語」の試験形態は、引き続き、マーク式問題及びICプレーヤーを使用して実施する方式とし、出題形態としては「読む」「聞く」に関する能力を中心としつつも、「話す」「書く」も含めたコミュニケーション力を支える基盤となる知識等も評価するなど、高等学校までの教育で培った総合的な英語力を可能な限り評価する方向で不断の改善を図っていくことが望ましいと考えられる。
第4章 大学入学者選抜をめぐる地理的・経済的事情、障害のある受験者への合理的配慮等への対応
1.現状と施策の基本的な方向性

「大学入学者選抜に求められる原則②」(受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保)を踏まえ、大学入学者選抜の結果を社会的に信頼されるものとするためには、受験機会や選抜方法における「形式的な公平性」を確保するとともに、地理的・経済的条件に配慮した受験機会の確保や、障害者差別解消法の規定に基づく障害のある受験者への合理的配慮の充実など「実質的な公平性」を追求することが重要である。これらの具体的内容を一律に定めることは難しいが、各大学においては積極的な取組が求められる。

2.大学入学者選抜の受験機会における地理的・経済的条件等への配慮
(大学入学共通テストの高校会場の拡充可能性の継続的検討)
  • 大学入学共通テストについては、高校会場の拡充の検討が必要との指摘がある。このことについては、試験の安定的で確実な実施や大学・高等学校関係者の負担への配慮等も必要である上、それに伴うコストや地域の実情を踏まえる必要がある。大学入学者選抜に関する常設の協議体(大学入学者選抜協議会)において、継続的な検討を行うことが適当
(大学入学者選抜のオンライン化の推進)
  • コロナ禍の中、面接試験等をオンラインで実施した学部が、総合型選抜で19.1%、学校推薦型選抜で18.4%あったが、今後も、自然災害等の事態への対応や地理的・経済的事情への配慮の観点から、面接試験のオンライン化は引き続き有効な手段であると考えられる。
  • 一般選抜における学力検査をオンラインで行うことについては、不正の防止方策等をはじめ、大学入学者選抜に求められる原則②(受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保)の観点から高いハードルがあるため、将来の技術進歩等もにらみながら、当面は大学入試センター等において先行事例の分析や研究を行うことが必要
(特別選抜等の実施)
(英語資格・検定試験の活用に係る配慮)
  • 英語資格・検定試験を大学入学者選抜で活用する場合、受験機会における実質的公平性(原則②:受験機会・選抜方法における公平性・公正性の確保)を最大限確保できるよう、国、大学、高等学校、資格・検定試験実施団体をはじめ関係者が連携・協力し、地理的・経済的な事情への配慮措置を可能な限り講じることが必要。
  • 低所得層の受験料の減免や資格・検定試験を活用する選抜区分における低い受験料の設定などの各大学の取組を促進する方策を検討する。、資格・検定試験実施団体に対し、低所得層への検定料の減免やオンライン試験の導入の検討を要請したり、資格・検定試験実施団体、高等学校、教育委員会等に対し、資格・検定試験の高校会場の拡充への協力を求めたりすべきである。
(受験から入学に至るプロセスへの支援等)
3.障害のある受験者への合理的配慮の充実
  • 障害のある入学志願者に対しては、「障害者基本法」や「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の趣旨に十分留意し、その能力・意欲・適性、学習の成果等を適切に評価・判定するために必要な合理的配慮を行うことが重要である。この点について、例えば、事前の相談に教員、保護者、支援者等が加わることの可否が異なるなど、大学間での取扱いにばらつきがあるとの指摘もある。
  • もとより、合理的配慮は、その実施に伴う負担が過重でないときに障害の特性や具体的場面・状況に応じて提供するものであり、一律の措置を求めることは難しいが、令和3年5月の障害者差別解消法の改正により、私立大学についても合理的配慮の提供が義務化されたことを踏まえ、取組の一層の充実を図る必要がある。
第5章 ウィズコロナ・ポストコロナ時代の大学入学者選抜
1.2024(令和6)年度実施の大学入学者選抜に向けて
(1)第1回大学入学共通テストの実施状況
(2)大学入学共通テストの科目構成等の見直し(新教育課程への対応等)
(3)入学後の教育に必要な入試科目の設定の推進
2.秋季入学等の学事暦・修学年限の多様化・柔軟化に対応した大学入学者選抜のあり方
  • 秋季入学については、これまでの先行事例が既にそうなっているように、4月入学者の一般選抜の延長線上で考えるのではなく、多様な価値観が集まり新たな価値を創造するキャンパスを実現する観点から、総合型選抜・学校推薦型選抜や社会人選抜、外国人留学生選抜など、学力検査を中心とする通常の一般選抜とは異なる多様な選抜基準・方法を中心に推進することが適当
  • したがって、秋季入学に対応して大学入学共通テストの実施時期を変更したり、回数を増やしたりすることは適当でないと考えられる。
3.総合型選抜・学校推薦型選抜の推進
(1)求める人材の特性に応じた総合型選抜・学校推薦型選抜の推進
(2)総合型選抜・学校推薦型選抜における学力の適切な把握
4.大学入学者選抜におけるデジタル化の推進
  • コロナ禍を契機として、デジタル社会の形成が急がれる中、大学入学者選抜についても、技術の進展の状況に常に留意しながら、デジタル化を積極的に進めていくことが必要である。
(1)電子出願の推進
(2)オンライン面接等の推進
(3)CBT化の推進
5.大学入学者選抜の改善に係る実施・検討体制
(1)各大学の入試情報の公表
(2)国による選抜区分ごとの大学入学者選抜実態調査の定期的実施・公表・分析
(3)大学入学者選抜等の改善に係るインセンティブの付与
(4)大学入試センターの事業・経営の改善
(5)大学入学者選抜についての高等学校・大学等関係者間の恒常的な協議体の設置
  • 本検討会議において、緊急事態における機動的な協議を可能とする観点からの会議体の常設化、協議のプロセスの透明性の確保、構成メンバーの代表性の明確化等が必要である等の意見があったことを受け、2021(令和3)年5月14 日に、新たに大学入学者選抜協議会(文部科学事務次官決定)が設置された。
  • 新たな協議体においては、次年度選抜の日程や方法等の協議を行うことに加え、持続可能な望ましい大学入学者選抜についての課題への対応も含めた検討を行うことが求められる。
  • 本検討会議で指摘のあった事項のうち、①将来的な入試日程のあり方(自然災害や感染症等に耐え得る大学入学者選抜のあり方や、雪害や感染症拡大期である1月実施を回避する観点から、高等学校教育に与える影響を勘案しつつ、大学入学共通テストを例えば12 月に前倒しすることの適否など)、②高校会場の拡充可能性(試験の確実な実施や実施に伴う負担、高等学校教員や退職教員の協力の可否、公平性・公正性等の観点を勘案し、県ごとの大学・高等学校関係者の協議を踏まえ検討)、③「高校生のための学びの基礎診断」の検証を踏まえつつ、いわゆる基礎学力テストの可能性(CBTの研究開発の可能性をも含む。)等については、検討すべき課題も多く、2024(令和6)年度実施の大学入学者選抜(2025(令和7)年度大学入学者選抜)までと時間を限った中で結論付けるのは適当でないことから、新たに設けた常設の協議体等の中で、継続的な検討を行うこととすべきである。

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