特別支援学校設置基準案は不十分 保護者らが見直し要請

文科省が今年5月に公表した特別支援学校の設置基準案について、特別支援学校に通う児童生徒の保護者や教職員らでつくる団体が7月8日、「学校の児童生徒数の上限などを規定しない上、現存校には努力義務としており、学校の過大・過密の解消につながらない」などとして、文科省に対して設置基準案の見直しを要請した。同省は「パブリックコメントの意見なども踏まえて、内容を整理して制定を進めたい」としている。

特別支援学校設置基準案の見直しを文科省に要請した団体の記者会見

要請を行ったのは「障害児学校の設置基準策定を求め、豊かな障害児教育の実現をめざす会」(佐久美順子会長)。

文科省は今年5月、教室不足が深刻な特別支援学校の教育環境の改善に向けて、備えるべき施設や校舎の面積などの最低基準を定めた設置基準案を公表。この中で、▽視覚▽聴覚▽知的▽肢体不自由▽病弱――の5つの障害種ごとに、校舎面積の算定式や幼稚部、小学部、中学部・高等部ごとの運動場面積の算定式を定め、普通教室・特別教室以外に、自立活動室、図書室、体育館などを備えることも明記した。
これについて、設置基準の策定を目指し取り組んできた同団体は「設置基準ができることは明るい一歩だが、私たちの望む内容になっていない」として、同省に見直しを求める要請書を提出した。

要請書では、▽学校の規模について児童生徒数の上限規定を設けること▽「1学級当たり1人以上」としている教諭の数を「1学級当たり2人以上」とすること▽教室不足解消の年限を明らかにして、それまでの期間は国の補助率を2分の1から3分の2に引き上げる予算措置を行うこと――などを求めている。

このうち学校の児童生徒数については、全国的には現在、400人から500人が在籍する学校もあると指摘。「全校の生徒の安全と成長、発達を保障するには、全教職員が全校児童生徒を把握することが前提であり、限界は100人から150人といわれている」と強調している。また、基準案では、現存校の編成や施設について、「当分の間、従前の例によることができるとする」と努力義務にとどまっているとして、「過大・過密のために劣悪になっている学校の条件整備につながらない」と指摘している。

会見に出席した都内の特別支援学校の教諭は「普通校の教室は通常、日当たりのいい南側にあるが、教室が足りなくて北側の更衣室を教室にするなど、人権侵害と思われることもあった。普通校にないことが許されるのはおかしい」と訴えた。

佐久美会長は「以前に比べて過大・過密化が進む学校が増えてきている。文科省の基準案には努力義務にとどめている点も含めて逃げ道が多く、私たちが求める内容となっていない。子供たちが安心安全に学べ、先生も安心できる職場をつくっていただきたい」と述べた。

文科省の特別支援学校設置基準案に関しては、すでにパブリックコメントで多くの意見が寄せられており、同省特別支援教育課は「パブリックコメントや自治体関係者からの意見などもいただいており、今回の要請も含めて総合的に整理した上で制定を進めたい」としている。設置基準は一部を除き2023年度から施行される予定。

同省によると、特別支援学校の教室は児童生徒数の増加などで、間仕切りを設けて2つに分割したり、特別教室を転用したりして対応しているケースも多く、19年5月1日時点で、全国で3162教室が不足していたことが明らかとなっている。


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