外国人学校への養護教員配置など求める意見 有識者会議

外国人学校などの保健衛生の在り方を検討している文科省の有識者会議(座長・佐藤郡衛明治大学国際日本学部特任教授)が7月12日開かれ、「外国人学校に通う子供たちの把握」や「保健衛生環境対策への支援体制」などの課題を整理した、中間とりまとめの骨子案が示された。これに対して委員から「養護教諭などの配置促進を示してほしい」「さまざまな母語に対応できる人材育成という観点も盛り込んではどうか」などといった声が上がり、こうした意見も踏まえた中間とりまとめが次回の会議で示されることになった。

 

オンラインで開かれた外国人学校の保健衛生環境について検討する有識者会議

有識者会議は、新型コロナウイルスの感染が広がる中、外国人学校などに通う子供たちの安心安全の確保に向けて6月に設置され、ブラジル人学校の経営者らからのヒアリングや、全国の外国人学校を対象にした実態調査結果などを基に議論が交わされてきた。

文科省から示された中間とりまとめ骨子案では、はじめに「わが国に在留するすべての子供の健康を確保し、外国人との共生社会を実現するため、また、人道的観点及び国民の安全を守るため、外国人学校においても保健衛生の確保が求められる」と有識者会議の取り組みの方向性を明記。さらに会議で浮かび上がった課題として、▽外国人学校および外国人学校に通う子供たちの把握に関する課題▽外国人学校が保健衛生環境対策を講じる際の課題▽外国人学校が保健衛生環境対策を講じる際の支援体制に関する課題――の3つを挙げて、それに対する検討事項を整理した。

子供たちの把握に関しては、学校や教育委員会単位といった手法に加えて、教育委員会経由では困難なケースでは、国際部署や外国人コミュニティールートを活用することも検討の余地があるのが示された。また、外国人学校には都道府県や市町村をまたいで通学する児童生徒が多数存在するため、広域行政の観点も必要であることを指摘している。

この骨子案に対して各委員がそれぞれ意見や要望を述べた。浅野明美委員(全国養護教諭連絡協議会会長)は、外国人学校の実態調査で養護教諭の配置が全体の3分の1程度にとどまっている結果なども踏まえて、「養護教諭の役割は救急措置にとどまらず、健康に関わる危機管理対応や心のケア、児童生徒の心身の課題の早期発見対応など、学校保健を推進する上でなくてはならない存在と認められている。養護教諭や学校医の配置をぜひ促進することも記載してほしい」と要望した。

これに関連して田中宝紀委員(青少年自立援助センター定住外国人支援事業部責任者)は「養護教員は必要だと思うが、雇用しようとしても、さまざまな国の母語を扱う養護教諭をどこで探したらいいのかという課題もある。人材育成という観点も盛り込めるといいのではないか」と指摘した。

また、オチャンテ・村井・ロサ・メルセデス委員(桃山学院教育大学人間教育学部准教授)は「外国人の立場としては支援を受けるだけでなく、自分たちも何かしたいという気持ちがある。そのために誰と連携したらいいのか示すことも重要であり、『一緒に取り組んでいく』いう考えも盛り込んでほしい」と述べた。

文科省はこうした意見や要望を踏まえて次回の会議で、それぞれの課題への対応策なども含めた中間とりまとめを示し、年内の最終取りまとめに向けて議論を深める方針。

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